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アスベスト事前調査とは?対象工事・資格・報告義務・費用を解説

アスベスト事前調査とは?対象工事・資格・報告義務・費用を解説

解体・改修工事では、原則として工事開始前にアスベスト(石綿)の事前調査が必要です。建築物の解体部分が80㎡未満、改修工事の請負金額が税込100万円未満でも、調査が不要になるわけではありません。これらは行政への報告基準であり、調査義務とは別です。

調査は書面と現地での目視を基本とし、判断できない建材は分析します。吹付け材を除き、石綿含有とみなして必要な対策を取る方法もあります。施主や建物所有者は、見積もり・設計段階から有資格者へ相談しましょう。

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アスベスト事前調査とは

アスベスト事前調査とは、建築物や工作物などの解体・改修前に、工事対象の建材に石綿が含まれているか確認する調査です。作業員のばく露や周辺への飛散を防ぎ、適切な工法と廃棄方法を決めるために行います。

主な法的根拠は、大気汚染防止法、労働安全衛生法、石綿障害予防規則です。制度の詳細は、環境省の石綿事前調査結果の報告について、厚生労働省の工事の元請業者向け案内で確認できます。

「報告対象外」と「調査不要」は異なる

80㎡未満の建築物解体工事など、行政報告の基準に満たない工事でも、事前調査は原則必要です。見積書に「アスベスト調査一式」としか記載されていない場合は、調査範囲、分析検体数、報告書、行政報告の費用が含まれるか確認してください。

アスベスト事前調査の義務と行政報告基準は別であることを示す比較図
80㎡や100万円は行政報告の基準であり、事前調査の要否を決める基準ではありません。

事前調査の対象となる工事

建築物・工作物・鋼製船舶の解体、改修、修繕、設備撤去などが対象です。工事規模が小さくても、既存材料を損傷・除去する場合は対象になり得ます。

  • 建物の全部または一部の解体
  • 内装の原状回復
  • 壁紙や床材の張り替え
  • 外壁改修や塗装
  • 配管・設備の撤去
  • エアコンの交換や新設
  • 壁や天井への穴開け

電動工具による穴開けも、石綿含有建材を損傷する可能性があるため注意が必要です。

調査対象外となり得る作業

  • 木材、金属、石、ガラスなど、石綿を含まないことが明らかな材料だけを扱う作業
  • 周囲を損傷しない画鋲や釘の抜き差し
  • 既存材料や下地を損傷せず、新しい材料を追加するだけの作業

下地や周辺建材を傷つける場合は扱いが異なります。作業内容を具体的に伝え、元請業者や調査者に判断してもらいましょう。

2006年9月以降の建築物も書面確認が必要

建築物について、2006年9月1日以降に着工したことを書面で明らかにできる場合は、石綿が使用されていないものとして、その後の目視調査などを省略できる場合があります。ただし、着工日を確認する書面調査自体は必要です。

また、一部の工作物用ガスケットやグランドパッキンなどには、2012年3月1日まで石綿使用禁止の猶予措置がありました。建築物と工作物を一律に判断してはいけません。

アスベスト事前調査の方法と流れ

書面調査、現地目視、分析または含有みなし、説明・報告・掲示の4段階
基本は書面調査と現地目視。判定できない建材は分析などで確認します。

1.書面調査

設計図書、確認済証、竣工時期が分かる資料、改修履歴、過去の調査結果、建材の商品名・型番、メーカー資料などを確認します。資料がないことを理由に「石綿なし」とは判断できません。

2.現地での目視調査

調査者が現地で、図面との相違、建材の裏面表示、施工状況、重ね張りなどを確認します。原則として書面調査と現地目視の両方が必要ですが、法令上認められた書面で着工時期などを確認できる場合は、目視調査を省略できることがあります。

発注前に、調査範囲が建物全体、対象フロア、今回の工事部分のどこまでかを書面で明確にしましょう。

3.分析調査または含有みなし

書面と目視で判断できない建材は、試料を採取して分析します。吹付け材を除いて、石綿含有建材とみなし、法令に沿った措置を取る方法もあります。

吹付け材は、含有とみなして分析を省略する取り扱いの対象外です。分析を行う場合は、法令上の要件を満たす分析調査者へ依頼します。

4.結果の説明・報告・掲示

結果を報告書にまとめて発注者へ説明します。行政報告の対象工事は、工事開始前までに、遅滞なく報告しなければなりません。現場には調査記録を備え付け、石綿が見つからなかった場合も結果の概要を掲示します。

調査を行える有資格者

建築物の資格要件

2023年10月1日以降に着工する工事では、建築物の事前調査は原則として次の者が行います。

  • 特定建築物石綿含有建材調査者
  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 一戸建て等石綿含有建材調査者
  • 2023年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会へ登録され、調査時点でも登録を継続している者

特定・一般調査者はすべての建築物を調査できます。一戸建て等調査者の範囲は、一戸建て住宅と共同住宅の住戸内部に限られ、共同住宅の共用部分は対象外です。

工作物の資格要件

2026年1月1日以降に着工する工事では、特定工作物の解体・改修に加え、特定工作物以外でも塗料など石綿使用のおそれがある材料を除去する作業について、資格者による調査が必要です。

対象には炉設備、電気設備、配管、貯蔵設備などがあり、工作物の種類や作業内容によって調査できる資格が異なります。建築物の資格だけですべての工作物を調査できるわけではありません。厚生労働省の工作物石綿事前調査者の案内で区分を確認してください。

建築物の解体・改修、特定工作物、鋼製船舶の行政報告基準一覧
基準に該当する工事は、石綿の有無にかかわらず事前調査結果の報告が必要です。

行政への報告が必要な工事

石綿の有無にかかわらず、次の基準に該当する工事は事前調査結果の報告対象です。

工事の種類 報告基準 主な報告先
建築物の解体 解体部分の床面積合計80㎡以上 自治体・労働基準監督署
建築物の改修 請負金額が税込100万円以上 自治体・労働基準監督署
特定工作物の解体・改修 請負金額が税込100万円以上 自治体・労働基準監督署
鋼製船舶の解体・改修 総トン数20トン以上 労働基準監督署のみ

鋼製船舶の基準は石綿障害予防規則に基づくもので、大気汚染防止法上の自治体報告ではありません。

改修工事の請負金額には材料費、機器費、消費税を含みますが、事前調査費用は含めません。契約を形式的に分割しても、一つの工事として扱われる場合があります。

対象工事は工事開始前までに、遅滞なく報告します。電子手続きには石綿事前調査結果報告システムを利用でき、GビズIDが必要です。自治体独自の条例や手続きも確認してください。

発注者と元請業者の責任

元請業者・自主施工者

  • 事前調査の実施と記録作成
  • 発注者への結果説明
  • 必要な行政報告
  • 現場への記録の備え付けと掲示
  • 結果に応じた工事計画の作成

元請業者に調査義務があることと、調査・除去費用を元請業者が自己負担することは同じではありません。

発注者・建物所有者

  • 図面、確認済証、改修履歴などを提供する
  • 調査や除去に必要な費用と工期を確保する
  • 調査を妨げる条件を付けない
  • 石綿判明後の変更契約に対応する

契約前に、追加調査費、除去費、工期変更、変更契約の手順を取り決めておくとトラブルを抑えられます。

調査結果の記録・保存・現場掲示

調査記録には、調査場所、方法、建材ごとの結果と判断根拠、調査者名・資格、必要に応じて写真や図面を記載します。

元請事業者などは記録を原則3年間保存します。工事現場にも記録を備え付け、概要を原則JIS A3判以上で掲示します。石綿が見つからなかった場合も必要です。

隠蔽部など着工前に確認できない部分は、開口後に追加調査し、必要に応じて報告内容を修正します。

アスベスト事前調査の費用

全国一律の公定価格はありません。建物の規模、資料の有無、調査部位、検体数、分析方法、高所作業、採取跡の補修、報告書の仕様、行政報告の代行範囲などで変わります。

相見積もりでは総額だけでなく、次の項目を比較してください。

  • 調査する部屋・部位
  • 予定検体数と追加検体の単価
  • 採取費と分析費
  • 採取跡の補修費
  • 交通費や高所作業費
  • 報告書の内容
  • 行政報告の対応範囲

調査期間と依頼時期

調査期間に全国一律の決まりはありません。図面の有無、建物規模、隠蔽部、検体数、分析機関の納期などに左右されます。

工事直前の依頼では、分析、行政報告、除去計画のため着工を延期する可能性があります。見積もり・設計段階で相談するのが安全です。

アスベストが判明した後の対応

石綿含有が判明した場合は、建材の種類と作業方法に応じて次の対応を行います。

  • 作業計画の作成
  • 石綿作業主任者の選任
  • 作業員への特別教育
  • 隔離、湿潤化、集じん工具、保護具などの使用
  • 必要な届出
  • 石綿含有廃棄物としての分別・処理

吹付け石綿や石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材などを扱う特定粉じん排出等作業では、発注者または自主施工者が、原則として作業開始日の14日前までに自治体へ実施届を提出します。労働基準監督署への別の届出や自治体独自の手続きが必要な場合もあります。

アスベスト事前調査業者へ依頼する前の7項目チェックリスト
総額だけでなく、資格範囲・調査箇所・追加費用・報告対応を確認しましょう。

調査業者を選ぶ際の確認事項

  • 担当者の資格名と修了証番号
  • 資格の調査可能範囲が対象物件に合っているか
  • 協会登録者の場合は登録が継続しているか
  • 工作物の場合は対象物と作業内容を調査できるか
  • 分析担当者の要件と分析方法
  • 調査する部屋・部位、検体数、追加単価
  • 写真、図面、判断根拠を含む報告書の有無
  • 行政報告、高所作業、補修、交通費の対応範囲
  • 石綿判明後の除去や届出への対応可否

補助制度を利用できる場合がある

地方公共団体によっては、アスベスト調査や除去の補助制度があります。ただし、対象は吹付けアスベストなどに限られ、通常の事前調査費や成形板は対象外となる場合があります。

契約・着工前の申請が必要な制度も多いため、発注前に自治体の建築・環境担当窓口へ確認してください。

よくある質問

80㎡未満の解体工事なら調査は不要ですか?

いいえ。80㎡は建築物解体工事における行政報告の基準です。事前調査自体は、規模にかかわらず原則として必要です。

分析調査は必ず必要ですか?

すべての建材で必須ではありません。書面と目視で石綿の有無を確定できれば分析は不要です。判断できない建材は、吹付け材を除き、石綿含有とみなして対策する方法もあります。

石綿が見つからなくても掲示が必要ですか?

必要です。調査結果の記録、現場への備え付け、概要の掲示は、石綿なしの場合も行います。

調査費用は誰が負担しますか?

元請業者に実施義務があることと、費用の自己負担は別です。発注者には必要な費用と工期の確保が求められるため、契約前に負担方法を明確にしてください。

事前調査結果は誰が行政へ報告しますか?

元請業者または自主施工者です。鋼製船舶は報告先と根拠法令が異なり、石綿除去作業に関する届出とも提出者・期限・要件が異なります。

まとめ

解体・改修工事では、工事開始前のアスベスト事前調査が原則必要です。行政報告の基準未満でも、調査まで不要になるわけではありません。

施主や建物所有者は資料を早めに準備し、調査者の資格範囲、調査箇所、分析費、追加費用、行政手続きを確認しましょう。石綿が判明した場合に備え、変更契約と工期調整の方法も事前に決めておくことが重要です。

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