解体業に関わる営業職が、解体工事のリアル、現場仕事の判断、ゴルフや日常の暮らしを実体験で綴るブログ。

解体工事の見積書の見方|内訳・追加費用の確認ポイント

解体工事の見積書の見方|内訳・追加費用の確認ポイント

解体工事の見積書は、工事範囲、数量・単価、追加費用の条件の順に確認します。

総額や坪単価が安くても、基礎撤去、廃材処分、石綿(アスベスト)事前調査などが含まれていなければ、契約後に費用が増える可能性があります。本記事では、内訳の見方と契約前の確認事項を解説します。

解体工事の見積書を確認する10項目のチェックリスト
上から順に確認すると、見積範囲や追加費用の見落としを減らせます。
目次[閉じる]

解体工事の見積書を確認する順番

  1. 建物の構造・階数・延べ床面積
  2. 建物本体と基礎の解体範囲
  3. 足場・養生・散水などの安全対策
  4. 廃材の積み込み・運搬・処分
  5. 外構などの付帯工事
  6. 残置物の処理方法
  7. 石綿事前調査・分析・除去
  8. 重機回送費・届出費・諸経費
  9. 追加費用の発生条件
  10. 消費税・工期・支払条件・有効期限

現地と見積書を照合し、撤去する物と残す物を明記しましょう。ブロック塀、庭木、物置、土間、井戸、浄化槽などは、写真や配置図も使って記録すると行き違いを防げます。

主な内訳とチェックポイント

項目 主な内容 確認事項
本体解体 躯体、内装、屋根、基礎 構造、面積、数量、基礎の範囲
仮設工事 足場、養生、散水、誘導員 敷地・道路条件に合う対策か
廃材処理 分別、積み込み、運搬、処分 品目、数量、運搬費を含むか
付帯工事 塀、樹木、物置、土間など 撤去対象と残す物
残置物 家具、家電、生活用品 適法な処理方法と担当事業者
石綿関連 事前調査、分析、除去、処分 見積額に含まれる範囲
諸経費 現場管理、書類、保険など 内容と他項目との重複
重機回送 重機の搬入・搬出 重機の種類と回数
整地 ならし、砕石敷きなど 完了時の状態
坪単価ではなく同じ工事範囲の税込総額で比較する図
坪単価の対象範囲を確認し、同じ条件の小計または税込総額で比較しましょう。

建物本体の解体費と坪単価の見方

本体解体の欄では、木造・鉄骨造・RC造などの構造、階数、延べ床面積、数量、単位、単価を確認します。増築や未登記部分がある場合は、登記上の床面積と見積数量が一致しないこともあります。

坪単価=建物本体の解体費÷延べ床面積(坪)

ただし、坪単価に足場、基礎撤去、廃材処分、石綿調査などを含むかは業者ごとに異なります。坪単価ではなく、同じ工事範囲の小計または税込総額で比較してください。

足場・養生・廃材処理を確認する

仮設・安全対策

  • 足場、防音・防炎シート
  • 粉じん飛散防止の養生と散水
  • 交通誘導員
  • 道路使用・占用への対応
  • 安全衛生経費

住宅密集地や狭い道路では対策費が増えることがあります。安全対策費がない見積もりを、単純に割安とは判断できません。

廃材の運搬・処分

木くず、コンクリートがらなどの品目と数量、積み込み費、収集運搬費、処分費、再資源化費を確認します。「廃材処分一式」の場合は、対象品目と数量の根拠、運搬費を含むかを質問しましょう。

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付・保存主体は、原則として排出事業者である元請業者です。発注者が当然に受領できる書類ではないため、処理終了をどのように確認できるか尋ねてください。建設リサイクル法の対象工事では、工事後の再資源化等完了報告も確認します。

付帯工事と残置物の範囲

付帯工事

  • ブロック塀、門柱、フェンス
  • カーポート、物置
  • 庭木、庭石
  • 井戸、浄化槽
  • 土間コンクリート、擁壁
  • 配管、残置基礎

境界付近の塀や擁壁は隣地との関係にも注意し、撤去範囲を図面や写真で決めます。

家庭の残置物は一般廃棄物

家庭の家具、家電、衣類などは一般廃棄物であり、原則として所有者・占有者が市町村指定の方法で処理します。

一般廃棄物処理業の許可がない解体業者は回収・処分できません。産業廃棄物処理業の許可、解体工事業登録、古物商許可だけでは処理できないため、依頼する場合は、実際に収集する事業者の一般廃棄物処理業許可または市町村からの委託を確認してください。詳しくは、環境省「残置物の適正処理のお願い」も参考になります。

見積書には、対象となる物品、家電リサイクル対象品の扱い、施主が処分する物、数量が増えた場合の計算方法を記載してもらいましょう。

諸経費・重機回送費・届出費用

諸経費には、現場管理、重機回送、書類作成、近隣対応、駐車場、保険、安全管理などが含まれることがあります。諸経費があるだけで不当とはいえませんが、内容と他項目との重複を確認してください。

重機回送費は、使用する重機の種類と搬入・搬出回数を尋ねます。届出費についても、誰がどの手続きを行う費用なのか確認しましょう。

地中埋設物などの追加費用を確認し書面承認する流れ
追加工事は、数量と金額を確認し、着手前に書面で承認します。

石綿事前調査と追加費用

石綿事前調査は規模を問わず必要

建築物などの解体・改修では、対象部分に石綿が含まれるかを事前に調査する必要があります。建築物は2023年10月1日以降、一定の工作物は2026年1月1日以降の着工分から、所定の資格者による調査が必要です。工作物は対象や資格区分が建築物と異なるため、工事内容に応じて確認してください。

見積書では、書面・現地調査、分析、報告書作成、除去、運搬、処分の各費用を確認します。「アスベスト費用込み」だけでは、調査のみか除去まで含むのか分かりません。

建築物の解体部分が80㎡以上の場合、元請業者または自主施工者は、着工前に労働基準監督署と都道府県等へ事前調査結果を報告します。80㎡未満でも事前調査は必要です。これは建設リサイクル法に基づく発注者等の届出とは別の制度です。制度の詳細は、環境省「石綿事前調査結果の報告について」で確認できます。

追加費用になりやすい項目

  • 地中埋設物、杭、井戸、浄化槽
  • 石綿含有の判明
  • 残置物や廃材量の増加
  • 手壊し作業や誘導員の追加
  • 小型重機・小型車両への変更
  • 土壌汚染や危険物
  • ライフライン停止・撤去の未完了

契約前に、発生条件、数量の確認方法、単価または算定方法、施主の承認手順を書面化します。地中埋設物が見つかっても、当然に施主負担になるとは限りません。契約範囲と追加工事への合意内容を確認してください。

「一式」表記と極端に安い見積もりの注意点

一式表記だけで不適切とはいえません。ただし、本体解体、廃材処理、付帯工事、残置物、石綿関連まで一式では、数量や追加費用を比較しにくくなります。

他社より極端に安いときは、値引き理由より先に含まれていない工事を確認しましょう。

税・工期・支払条件を確認する

  • 総額が税込か税別か
  • 着工予定日、工期、作業時間
  • 支払時期と支払回数
  • 見積有効期限
  • 有効期限後に変動し得る費目
  • 完了後に受け取る資料

建設リサイクル法の対象工事

特定建設資材を用いた建築物について、構造耐力上主要な部分を合計80㎡以上解体する工事は、原則として建設リサイクル法の対象です。自治体の条例で基準が追加されることもあります。

対象工事では、原則として着工日の7日前までに発注者または自主施工者が届け出ます。契約書には、分別解体等の方法、解体費、再資源化等を行う施設の名称・所在地、再資源化費用などの法定事項が必要です。元請業者による事前説明と、工事後の再資源化等完了報告も確認しましょう。手続きは国土交通省「建設リサイクル法の手続きの流れ」で確認できます。

解体工事3社の見積条件をそろえて比較する表
各社へ同じ条件を提示し、含まれる工事と追加条件を横並びで確認します。

相見積もりは条件をそろえて比較する

各社へ同じ図面や建物情報を渡し、本体・基礎の解体範囲、付帯物、残置物、整地方法、石綿調査、希望時期、接道条件を統一します。

比較項目 A社 B社 C社
基礎撤去
足場・養生
廃材の運搬・処分
付帯物撤去
残置物の処理方法
石綿事前調査
整地
税込総額
追加費用の条件

契約前に業者へ確認する質問

  1. 見積額に含まれない工事は何ですか。
  2. 基礎・土間・外構はどこまで撤去しますか。
  3. 廃材の運搬費と処分費は含まれますか。
  4. 家庭の残置物は誰が、どの許可・委託に基づき処理しますか。
  5. 石綿の調査・分析・除去費はそれぞれ含まれますか。
  6. 地中埋設物が出た場合の単価と承認手順は何ですか。
  7. 追加工事は着手前に書面で承認できますか。
  8. 届出は誰が行い、費用はいくらですか。
  9. 金額は税込ですか。
  10. 完了後に受け取れる報告書は何ですか。

許可・登録も確認する

解体工事の請負金額が税込500万円以上の場合、原則として該当業種の建設業許可が必要です。500万円未満でも、建設業許可を持たない事業者には、施工区域を管轄する都道府県の解体工事業登録が必要です。契約前に番号と有効性を確認しましょう。

よくある質問

坪単価が安ければお得ですか?

一概にはいえません。足場、基礎撤去、廃材処分、石綿調査などを含むか確認し、同じ工事範囲で比較してください。

家庭の家具や家電も解体業者に頼めますか?

一般廃棄物処理業の許可がない解体業者は回収・処分できません。市町村指定の方法を確認し、依頼する場合は許可または市町村委託の有無を確認してください。

追加費用はどこまで認めるべきですか?

契約内容や発生原因によります。発生条件、数量、単価、承認手順を契約前に決め、作業着手前に書面で確認しましょう。

80㎡未満なら石綿調査は不要ですか?

いいえ。規模を問わず事前調査が必要です。80㎡は建築物解体における調査結果報告の基準です。

見積書以外に確認する書類はありますか?

契約書、工程表、石綿事前調査結果、建設リサイクル法関係書類などです。対象工事では、再資源化等完了報告も確認してください。

まとめ

解体工事の見積書は、総額ではなく、工事範囲、数量・単価、追加費用の条件を確認することが大切です。特に基礎、付帯物、廃材処理、残置物、石綿関連は、業者によって見積範囲が異なります。

相見積もりでは条件をそろえ、不明点と追加工事の承認手順を契約前に書面化しましょう。

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry