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擁壁の解体費用はいくら?見積もり内訳・追加料金と注意点

擁壁の解体費用はいくら?見積もり内訳・追加料金と注意点

擁壁の解体費用は、全国一律の㎡単価では判断できません。主に次の条件で決まります。

  • RC・ブロック・石積みなどの構造
  • 延長、高さ、厚さ、基礎の大きさ
  • 背面土と残土の量
  • 重機やダンプの進入条件
  • 仮設土留め、排水、地盤補強の必要性
  • 解体後の整地や新設擁壁の範囲

擁壁は土を支える構造物です。撤去本体だけでなく、土砂崩れを防ぐ仮設工事と撤去後の復旧まで含めて総額を比較してください。

実務ポイント1
見積もり前に「延長・高さ・見える範囲の厚さ」を測り、擁壁の上側・下側、前面道路、搬入経路を撮影しておきましょう。

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擁壁解体費用の考え方

擁壁撤去には公的な全国統一単価がありません。民間の公開相場にも幅がありますが、撤去本体だけを示し、残土や仮設土留めを含まない場合があります。

概算は、次のように考えます。

概算費用=撤去対象量×施工単価+仮設・養生+重機・人件費+運搬・処分+残土・整地+安全対策・復旧費

面積だけでは見積もれない理由

擁壁の見付け面積は「延長×高さ」で計算できます。しかし、同じ面積でも厚さや地中の基礎、背面土によって解体量が変わります。

確認する数量は次のとおりです。

  • 見付け面積:延長×高さ
  • 壁体の概算体積:延長×高さ×平均厚さ
  • 地中の基礎・底版・控え壁
  • 鉄筋や胴込めコンクリート
  • 掘削・搬出する背面土
  • 埋め戻し材や砕石の数量

「○㎡だから○万円」と即答する見積もりより、地中部分や施工方法まで確認した見積もりのほうが実態を把握しやすくなります。

擁壁の種類による費用差

公開されている参考価格の例

次の金額は、民間の団体・住宅会社が公表している擁壁解体の参考価格です(2026年10月4日確認)。全国共通の確定額ではなく、資料ごとに面積の測り方や含まれる費用が異なります。

擁壁の種類 あんしん解体業者認定協会(同協会を通じた工事実績に基づく相場) パナソニック ホームズ(住宅会社のコラム・一般的な相場)
鉄筋コンクリート造(RC) 1㎡あたり約17,000~35,000円 1㎡あたり17,000~50,000円程度
コンクリート造・ブロック造 コンクリート造:1㎡あたり約14,000~30,000円 ブロック造:1㎡あたり14,000~40,000円程度
石造(石積み) 1㎡あたり約5,000~20,000円 1㎡あたり10,000~30,000円程度

パナソニック ホームズの資料は、高さ2m×長さ10m=20㎡という計算例を示しており、擁壁の面積(高さ×長さ)あたりの単価です。あんしん解体業者認定協会の資料は面積の測り方を記載しておらず、L型擁壁20㎡の実例では、合計349,800円(税込)のうち撤去工事が156,000円でした。

どちらの資料も、廃材の処分費、残土処理、重機の搬入、養生、交通誘導、地盤補強などが別途必要になる場合があるとしています。擁壁の厚さや基礎の大きさ、背面土の扱い、仮設土留め、撤去後の新設工事によっても総額は変わります。札幌・北海道など特定の地域の価格を示す資料は確認できませんでした。

RC擁壁

RC擁壁は鉄筋コンクリート製です。壁体が厚く、地中に大きな底版がある場合は、破砕量と鉄筋の分別作業が増えます。

圧砕機やブレーカー付き重機を使用することが多く、次の条件で費用が上がりやすくなります。

  • コンクリートが厚い
  • 鉄筋量が多い
  • 基礎・底版が大きい
  • 振動を抑える必要がある
  • 住宅や配管が近接している

コンクリートブロック・間知ブロック擁壁

ブロック造でも、裏側に土がある場合は一般的なブロック塀と同じ方法で撤去できるとは限りません。

空積みか練積みか、裏込め・胴込めコンクリートがあるかによって、解体量や工法が変わります。単なる囲いの撤去については、ブロック塀の解体費用も参考にしてください。

石積み・玉石積み擁壁

石の大きさ、積み方、モルタルの有無によって作業方法が変わります。石材を再利用する場合は、破砕せず丁寧に取り外すため、人件費や仮置きスペースが必要です。

石そのものに加え、背面土と裏込め材の運搬・処分も確認します。

見積書で確認する内訳

「擁壁撤去一式」では、各社の条件を比較できません。少なくとも次の項目を分けてもらいましょう。

項目 主な内容 確認事項
現地調査 構造、寸法、搬入路の確認 厚さや基礎をどう想定したか
養生・仮設 防音、防じん、飛散防止 隣家・道路側の範囲
解体工 圧砕、切断、手壊し 壁体・基礎の撤去範囲
重機費 重機、アタッチメント、回送 使用機種と搬入方法
人件費 作業員、誘導員 手壊し・小運搬の範囲
運搬費 がら、石材、残土の搬出 車両台数や運搬条件
処分費 コンクリート、金属など 品目別の数量・処分先
残土・埋め戻し 土の搬出、購入土、転圧 場内利用の可否
仮設土留め 撤去中の崩壊防止 工法と設置期間
整地・復旧 整地、排水、法面保護 完成時の高さと仕上げ
新設工事 新しい擁壁、地盤補強 解体費と別見積もりか

整地の仕様は、解体後の整地とは?で詳しく解説しています。

実務ポイント2
見積書に「壁体」「基礎・底版」「背面土」を分けて記載してもらい、撤去後の引渡し高さも図面や数値で指定してください。

追加費用が発生しやすいケース

想定より厚い・基礎が深い

図面がなく、解体後に厚い壁体や大きな底版が判明すると、破砕・運搬・処分量が増えます。RC擁壁と建物基礎が一体化している場合も注意が必要です。

基礎撤去の考え方は、基礎だけ解体する費用と注意点も参考になります。

重機が入らない

狭小地や階段状の敷地では、小型重機、手壊し、人力による小運搬が必要です。道路までの搬出距離が長いほど、作業員数や搬出時間が増える傾向があります。

詳しくは重機が入らない現場の解体方法をご覧ください。

残土処分や地盤補強が必要になる

背面土を掘削する場合、現場内で再利用できない土は搬出・処分が必要です。埋め戻し後の用途によっては、購入土や砕石の搬入、転圧、地盤改良が加わります。

特に次の場合は事前確認が必要です。

  • 撤去後に住宅を新築する
  • 駐車場として利用する
  • 軟弱地盤や湧水がある
  • 擁壁を建て替える
  • 盛土や切土で地形を変える

道路や隣家に近い

道路上で重機や車両を使う場合は、交通誘導や道路関係の手続きが必要になることがあります。隣家が近ければ、防護、振動対策、現況記録などの費用も加わります。

密集地特有の注意点は、住宅密集地の解体工事で確認できます。

実務ポイント3
追加工事は「発見状況を写真で報告→追加見積もりを提示→施主承認後に施工」という手順を契約書に明記しましょう。追加費用の扱いは契約範囲や現地条件によって異なります。

擁壁撤去後の斜面に仮設土留めと排水対策を施した現場
擁壁を壊す前に、仮設土留めや排水など撤去後の安全対策を検討します。

擁壁撤去後の安全対策

擁壁を壊すと、支えられていた土が崩れたり、隣地や道路へ流出したりするおそれがあります。自己判断で部分的に壊すのも危険です。

現場に応じて、次の対策を検討します。

  • 段階的な解体
  • 仮設土留め
  • 法面の整形・保護
  • 雨水・湧水の排水
  • 埋め戻しと転圧
  • 転落防止柵
  • 新しい擁壁の設計・施工

水抜き穴や排水施設の不具合は擁壁の安定性に影響します。壁だけを建て替え、排水計画を省くことは避けてください。

実務ポイント4
上側・下側の土地所有者、境界、排水先を着工前に確認し、隣接物を写真で記録してください。境界付近では測量が必要になる場合もあります。

擁壁解体に関係する法令・手続き

必要な手続きは、所在地、工事内容、規模によって異なります。契約前に自治体や道路管理者へ確認してください。

建設リサイクル法

特定建設資材を用いた建築物以外の工作物の工事は、請負代金500万円以上の場合、国の基準による届出対象です。原則として発注者または自主施工者が着工7日前までに届け出ます。

条例で対象規模などが補完される場合もあるため、届出先となる都道府県等の窓口で所在地の取り扱いを確認してください。制度の概要は建設リサイクル法の対象工事と届出で解説しています。

盛土規制法・造成関係の規制

撤去に伴う切土・盛土や、新しい擁壁の築造は、盛土規制法や自治体の造成関係規制の対象になる場合があります。規制区域内かどうかに加え、行為の規模・内容によって許可等の要否が異なります。

計画段階で必ず自治体窓口に確認し、解体業者だけで判断せず、土木施工業者や設計者にも相談しましょう。

石綿事前調査

解体・改修工事では、原則として工事規模を問わず、対象部分の全ての材料について石綿含有の有無の事前調査が必要です。80㎡は建築物解体における事前調査結果の報告基準であり、事前調査の要否を分ける基準ではありません。

工作物は2026年1月1日以降、原則として工作物石綿事前調査者等の有資格者による調査が必要です。コンクリート擁壁も工作物に該当し得るため、擁壁本体、補修材、塗膜、付属物を含む対象範囲と調査者要件を元請業者に確認してください。

道路使用・道路占用

道路上の車両配置や交通規制には道路使用、仮囲いや資材置場などで道路を継続的に使用する場合には道路占用が関係することがあります。道路使用許可は所轄警察署、道路占用許可は道路管理者が窓口です。必要性は使用態様、道路種別、自治体の運用によって異なります。

現地調査と相見積もりの取り方

2~3社程度に、同じ撤去範囲と完成条件を伝えて現地見積もりを依頼します。金額だけでなく、施工方法と安全対策を比較してください。

現地調査で確認する項目

  • 擁壁の構造、延長、高さ、厚さ
  • ひび割れ、傾き、膨らみ、湧水
  • 基礎や底版の想定
  • 擁壁上・下の建物、道路、配管
  • 重機・ダンプの搬入経路
  • 作業・仮置きスペース
  • 背面土と残土の処理方法
  • 境界と所有関係
  • 排水先
  • 撤去後の土地利用

新築予定なら、解体業者だけで撤去深さや仕上げ高さを決めず、建築会社や擁壁の設計者にも確認してください。

安すぎる見積もりを避けるチェックポイント

次のような業者には注意が必要です。

  • 現地を確認せず金額を確定する
  • 見積書が「擁壁撤去一式」だけ
  • 残土・処分・仮設土留めの説明がない
  • 追加料金の発生条件を示さない
  • 廃棄物の処分先やマニフェストを説明できない
  • 必要な許可・登録を確認できない
  • 石綿調査を一律に不要と説明する
  • 施主承認前に追加工事を進める

建築一式工事以外は、1件の請負代金が税込500万円未満の軽微な工事を除き、建設業許可が必要です。解体工事業を営む事業者については、建設業許可の有無や許可業種、営業区域等に応じて解体工事業登録の要否も確認してください。許可・登録番号だけでなく、自治体等の公開情報で有効性を確認しましょう。

費用を抑える方法

安全対策を削らず、工事範囲と発注方法を整理することが基本です。

  • 複数社へ同じ条件で見積もりを依頼する
  • 撤去する部分と残す部分を図面で指定する
  • 搬入路と作業スペースを確保する
  • 新設擁壁・造成工事との一括施工を比較する
  • 残土や石材を再利用できるか設計者へ確認する
  • 補修・補強・部分撤去も比較する

ただし、著しく劣化した擁壁を費用だけで残すのは危険です。補修で対応できるか、再構築が必要かは、土木・外構業者や設計者の現地調査を踏まえて判断してください。

まとめ

擁壁の解体費用は、面積だけでなく、構造・厚さ・基礎・背面土・搬出条件・仮設土留めによって変わります。

見積もりでは、特に次の3点を確認しましょう。

  1. 壁体・基礎・背面土の撤去範囲
  2. 仮設土留め・残土・運搬処分の内訳
  3. 解体後の整地・排水・新設工事の扱い

危険な擁壁は自己判断で撤去せず、解体と土木工事の経験がある業者に現地調査を依頼してください。

参考資料

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