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解体工事のマニフェストとは?交付義務・保存期間・罰則を解説

解体工事のマニフェストとは?交付義務・保存期間・罰則を解説

解体工事のマニフェスト(産業廃棄物管理票)は、廃材の運搬・処分・最終処分を追跡するための書類です。

この記事の期限・保存期間・罰則は、2026年10月5日時点の条文(e-Gov法令検索で廃棄物処理法・同法施行規則を確認)に基づいています。

解体工事では原則として、施主ではなく、施主から工事を直接請け負った元請業者が排出事業者となり、産業廃棄物の処理を委託する際にマニフェストを交付・登録します。

委託契約書・処理業者の許可証・マニフェストの内容を照合している様子
適正処理の確認では、マニフェストだけでなく委託契約書と許可証の一致も確認します。
解体廃棄物を種類ごとに分別し、アスベスト廃棄物を別区分で密閉管理している様子
廃棄物の種類やアスベスト該当性に応じて、分別・表示・処理基準を確認します。

先に押さえたいポイントは次の3つです。

  • 紙マニフェストは廃棄物を引き渡す都度、内容に応じて交付する
  • 元請業者は返送票を照合し、最終処分まで確認する
  • マニフェストだけでなく、委託契約書と処理業者の許可も確認する

施主に通常、マニフェストの交付・保存義務はありません。ただし、不適正処理を防ぐため、契約前に処理体制を確認し、完了後に処理結果の説明を求めましょう。

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マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは

マニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を他社へ委託する際に使用する管理票です。

次の過程を把握する目的があります。

  1. 解体現場から廃棄物を排出する
  2. 許可を持つ収集運搬業者が運ぶ
  3. 処分業者が中間処理する
  4. 残った廃棄物を最終処分する

マニフェストを発行すれば責任が終わるわけではありません。排出事業者には、返送票や電子報告を確認し、処理が適切に完了したかを把握する責任があります。

解体工事でマニフェストが必要になるケース

解体工事で生じた産業廃棄物の収集運搬または処分を、別の事業者へ委託するときに必要です。

対象になり得る廃棄物には、次のようなものがあります。

  • コンクリートがら
  • 木くず
  • 金属くず
  • 廃プラスチック類
  • ガラスくず・陶磁器くず
  • がれき類
  • 廃石膏ボード
  • 解体で撤去した断熱材や内装材

紙の場合は原則として、廃棄物を引き渡す都度、廃棄物の区分や委託内容に応じて交付します。種類の異なる廃棄物を一律に1枚へまとめられるわけではありません。

混合廃棄物として適切に区分できる場合や、積替え保管・複数の運搬区間がある場合などは、記載・交付方法が異なることがあります。委託契約、処理業者の許可内容、自治体の案内を確認してください。

アスベスト廃棄物は区分に注意する

吹付け石綿や、一定の石綿含有保温材・断熱材・耐火被覆材の除去物などは、「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に該当する場合があります。

一方、石綿含有成形板などは「石綿含有産業廃棄物」に該当することがあり、廃石綿等とは区分や処理基準が異なります。ほかの廃棄物との混合を避け、表示、飛散防止措置、許可品目、処分先を確認してください。

実務ポイント1
見積書の「廃材処分一式」だけで判断せず、主な廃棄物の種類、運搬業者、処分先、マニフェストの運用方法まで確認しましょう。

排出事業者は誰か|原則は元請業者

建設工事では原則として、発注者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者です。下請業者へ解体や運搬を任せても、元請業者の排出事業者責任が当然になくなるわけではありません。

関係者 主な役割
施主 工事を発注し、契約内容や処理体制を確認する
元請業者 原則として排出事業者となり、委託契約やマニフェストを管理する
収集運搬業者 許可範囲内で廃棄物を処分先へ運ぶ
処分業者 許可範囲内で中間処理・最終処分を行う

施主がマニフェストの法定保存者であるとは一般化できません。一方、契約上、処理結果の説明や写しの提示を求めることは、不適正処理を防ぐ確認方法になります。

紙マニフェストの流れ|A票・B2票・C票・D票・E票

紙マニフェストは複数枚の複写式で、各事業者が必要な票を保管・返送します。

票 主な位置づけ
A票 排出事業者の控え
B1票 収集運搬業者の控え
B2票 運搬終了後、排出事業者へ返送
C1票 処分業者の控え
C2票 処分終了後、収集運搬業者へ返送
D票 処分終了後、排出事業者へ返送
E票 最終処分終了の確認後、排出事業者へ返送

排出事業者は、A票と返送されたB2票・D票を照合し、最終処分の委託がある場合はE票も確認します。

  • B2票:運搬が終了したか
  • D票:委託した処分が終了したか
  • E票:最終処分が終了したか

「A票とE票だけ確認すればよい」という仕組みではありません。各段階の返送状況と記載内容を照合する必要があります。

実務ポイント2
紙票は現場名や交付番号ごとに管理し、関係する返送票をひとまとまりにすると、未返送票を発見しやすくなります。

マニフェストに記載する主な項目

紙マニフェストでは、一般に次の情報を記載します。

  • 交付年月日・交付番号
  • 排出事業者の名称・住所
  • 排出事業場の名称・所在地
  • 産業廃棄物の種類
  • 数量・荷姿
  • 廃棄物の名称
  • 注意事項や有害物質に関する情報
  • 収集運搬業者の名称
  • 運搬先
  • 処分業者の名称
  • 処分事業場の所在地
  • 委託契約書に記載された処分方法

帳簿、委託契約書、許可証、実際の搬出内容との整合性も重要です。

記載ミスを防ぐポイント

特に注意したいのは、次のような誤りです。

  • 廃棄物の種類が実物と一致していない
  • 数量や単位が不明確
  • 排出事業場ではなく本社住所だけを記載している
  • 委託契約書と異なる処分先を記載している
  • 業者の許可対象外の品目を委託している
  • 必要事項を空欄のまま交付している
  • 実際に引き渡す前後にまとめて作成している

現場担当者任せにせず、委託契約と許可証を確認したうえで記入ルールを統一しましょう。

交付期限・返送確認・保存期間

紙は引渡し時に交付する

紙マニフェストは、産業廃棄物を収集運搬業者または処分業者へ引き渡す時点で交付します。

工事完了後にまとめて作成するものではありません。

返送期限

各処理業者からの送付期限は、次のとおりです。

  • B2票:運搬終了後10日以内
  • C2票・D票:処分終了後10日以内
  • E票:最終処分終了を確認した日から10日以内

E票の基準日は、最終処分そのものが終了した日ではなく、処分業者がその終了を確認した日です。

排出事業者の確認期限

排出事業者は、次の期限までに終了報告を確認します。

確認内容 期限
通常の産業廃棄物の運搬・処分終了 交付日から90日以内
特別管理産業廃棄物の運搬・処分終了 交付日から60日以内
中間処理後の最終処分終了 交付日から180日以内

B2票またはD票が90日以内(特別管理産業廃棄物は60日以内)、E票が180日以内に返送されない場合、排出事業者は速やかに処理状況を把握しなければなりません。

そのうえで、生活環境保全上の支障の除去または発生防止に必要な措置を講じ、期限経過後30日以内に措置内容等報告書を都道府県知事等へ提出する必要があります。虚偽記載などの疑いがある場合も、必要な確認・措置・報告が求められます。

実務ポイント3
返送待ち一覧を作り、60日・90日・180日の期限より前にアラートを設定してください。未返送が判明した日、確認先、回答、講じた措置も記録しておきましょう。

保存期間は5年間

紙マニフェストの排出事業者は、通常、次の票を5年間保存します(廃棄物処理法第12条の3、同法施行規則第8条の21の2・第8条の26)。

  • A票
  • B2票
  • D票
  • 最終処分の委託がある場合のE票

保存期間の起算点は票ごとに異なります。A票は交付日から、返送票は送付を受けた日から数えるなどの違いがあるため、最新の施行規則や管轄自治体の案内に沿って管理してください。

紙マニフェスト交付等状況報告

紙マニフェストを使用した場合、排出事業場ごとに前年度の交付状況を取りまとめ、原則として翌年度の6月30日までに都道府県知事等へ報告します。

電子マニフェストに登録した分は、情報処理センターが報告するため、排出事業者による同じ交付等状況報告は不要です。紙と電子を併用している場合は、紙で交付した分を報告します。

電子マニフェストとは

電子マニフェストは、排出事業者、収集運搬業者、処分業者が、情報処理センターを介して処理情報を登録・確認する仕組みです。

登録期限

排出事業者は原則として、廃棄物を引き渡した日から3日以内に登録します。この日数には、土日祝日と12月29日から1月3日までを含みません。

電子化の主なメリット

  • 紙票の送付・整理を減らせる
  • 必須項目の入力漏れを防ぎやすい
  • 処理状況を画面で確認できる
  • 終了報告や期限接近の通知を受けられる
  • 紙マニフェストの法定保存が不要になる
  • 電子登録分は情報処理センターが自治体へ報告する

利用には原則として、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者が電子マニフェストへ対応している必要があります。

収集運搬業者などに入力作業を支援してもらう場合でも、登録内容に関する排出事業者の責任は変わりません。

マニフェストが不要・対象外となるケース

主なケースは次のとおりです。

  • 排出事業者が廃棄物を自ら処理する場合
  • 委託する物が産業廃棄物ではなく一般廃棄物の場合
  • 国・自治体への委託など法令上の例外に該当する場合
  • 専ら物や認定制度など、一定の要件を満たす場合

「マニフェストが不要=自由に処分できる」という意味ではありません。別の許可、契約、記録または処理基準が適用される場合があります。

残置物・家庭ごみとの違い

解体で発生した木くずやコンクリートがらと、解体前から住宅に残っていた家具・生活用品は区分が異なり得ます。

家庭から出た残置物は一般廃棄物として扱われることがあり、産業廃棄物マニフェストを発行すれば適法に処理できるとは限りません。品目と自治体の運用を確認してください。

残置物の分別と依頼方法は、解体工事の残置物はどうする?で解説しています。

委託契約書・許可証との関係

マニフェストは、委託契約書や許可証の代わりにはなりません。

排出事業者は原則として、収集運搬業者・処分業者とそれぞれ書面で委託契約を結びます。そのうえで、次の点を確認します。

  • 委託する廃棄物が許可品目に含まれるか
  • 許可地域・事業範囲が委託内容に合っているか
  • 許可期限が切れていないか
  • 運搬先と処分施設が契約内容に合っているか
  • 再委託など不適切な委託体制になっていないか
  • マニフェストの処理先と契約書が一致しているか

許可証の写しだけでなく、行政の許可業者検索などで最新状況を確かめることも重要です。契約前の確認時期は、解体工事の流れも参考にしてください。

実務ポイント4
契約時に許可証を確認した後も、工期延期や処分先変更があれば、許可期限と契約内容を再確認しましょう。

不交付・虚偽記載・保存義務違反の罰則

次のような行為は、廃棄物処理法上の処分対象になる可能性があります。

  • 必要なマニフェストを交付しない
  • 必要事項を記載せずに交付する
  • 虚偽の内容を記載・登録する
  • 必要な票を保存しない
  • 期限内に終了報告を確認できないのに必要な措置や報告を行わない

マニフェストを交付しない、記載すべき事項を記載しない・虚偽の記載をして交付する、マニフェストやその写しを保存しない、といった違反は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象です(廃棄物処理法第27条の2)。運搬・処分業者が写しを送付しない・虚偽の記載をして送付する場合も、同じ条文の対象です。

違反が疑われる場合は、最新の廃棄物処理法と施行規則を確認し、管轄自治体の廃棄物担当部署や専門家へ相談してください。過去の資料では「懲役」と表記されていることがありますが、2025年6月1日の改正刑法施行後は「拘禁刑」という表記が用いられます。

不法投棄などが疑われる場合の対応は、解体業者のトラブル事例と対処法も参考にしてください。

施主が解体業者へ確認すべき書類

施主は、契約前と工事完了時に次の点を確認しましょう。

契約前

  • 元請業者はどの会社か
  • 廃棄物の種類と処理方法は何か
  • 収集運搬・処分を担当する事業者はどこか
  • 各事業者が必要な許可を持っているか
  • 許可品目と有効期限に問題がないか
  • 処分先はどこか
  • 紙と電子のどちらでマニフェストを管理するか
  • 残置物は契約対象に含まれるか
  • 廃棄物処理費が見積もりに含まれるか

業者選定から契約までの確認事項は、解体工事の流れでも解説しています。

完了時

  • 廃棄物の処理がどこまで完了しているか
  • マニフェストによる確認結果を説明してもらえるか
  • 必要に応じて写しや一覧表を提示してもらえるか
  • 当初予定から処分先や処理方法が変わっていないか
  • 追加廃棄物の数量・処理費に根拠があるか

施主がE票の原本を必ず受け取る制度ではありません。原本の管理義務を負う元請業者に、処理結果の説明や写しの提示を求める形が基本です。

建設リサイクル法の届出とは別制度

マニフェストと建設リサイクル法の届出は、目的が異なります。

制度 主な目的
マニフェスト制度 委託した産業廃棄物の運搬・処分を追跡する
建設リサイクル法 対象工事の分別解体や再資源化等を進める

建築物の解体工事では、床面積の合計80㎡以上が建設リサイクル法の代表的な対象規模です。対象工事では原則として、発注者等が着工7日前までに届出を行います。

ただし、自治体の条例や工事内容によって追加の手続きが設けられている場合があります。最新の対象基準、提出先、様式は工事地を管轄する自治体に確認してください。

なお、80㎡は建設リサイクル法上の代表的な基準であり、アスベスト事前調査そのものが必要かどうかを分ける基準ではありません。

建設リサイクル法の届出を行っても、マニフェストの義務を果たしたことにはなりません。反対に、マニフェストを交付しても、必要な届出が不要になるわけではありません。

最新情報と自治体運用の確認先

マニフェスト制度は法令改正の影響を受けます。また、報告書の提出方法や相談窓口は都道府県・政令市などで異なる場合があります。

実務では次の順に確認してください。

  1. 環境省の廃棄物処理法・建設廃棄物関係資料
  2. JWNETの最新案内
  3. 排出事業場を管轄する都道府県・政令市等
  4. 委託先の許可情報
  5. 社内の契約・マニフェスト管理規程

まとめ

解体工事では原則として、元請業者が排出事業者となり、産業廃棄物を委託処理する際にマニフェストを交付・登録します。

紙の場合は、A票と返送されたB2票・D票を照合し、最終処分の委託がある場合はE票も確認・保存します。未返送時は処理状況を確認するだけでなく、必要な措置と行政への報告が必要です。

電子の場合も、登録を委託先任せにせず、排出事業者が内容と処理完了を確認しなければなりません。

施主はマニフェストの原本だけに注目せず、委託契約、許可、処分先、処理完了確認を一体で確認することが重要です。

参考資料

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