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解体工事の騒音規制|基準値・作業時間・届出・近隣対策

解体工事の騒音規制|基準値・作業時間・届出・近隣対策

法令情報の確認日:2026年10月4日(騒音規制法・同法施行令・環境省告示を確認)
自治体条例や届出様式は改正される場合があります。施工地を管轄する自治体で最新情報を確認してください。

解体工事の騒音は、主に騒音規制法と自治体条例によって規制されます。ただし、すべての解体工事が一律に届出対象になるわけではありません。

まず確認すべき点は次の3つです。

  • 工事場所が騒音規制法の指定地域にあるか
  • 使用する重機や工法が特定建設作業に該当するか
  • 自治体条例による追加規制がないか

特定建設作業では、敷地境界線において85dBを超えないことが規制基準とされています。作業時間などは区域区分で異なり、自治体が独自の規制を設けている場合もあります。

解体工事に適用される騒音規制法とは

騒音規制法は、生活環境を保全するため、都道府県知事などが指定した地域における工場・事業場や建設作業の騒音を規制する法律です。

解体工事については、次の両方に該当すると規制対象になります。

  1. 工事場所が騒音規制法の指定地域内にある
  2. 政令で定める「特定建設作業」を行う

したがって、「建物を解体するから必ず騒音規制法の届出が必要」とは限りません。所在地、使用機械、定格出力、工法を基に判断します。

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騒音規制法の「特定建設作業」とは

特定建設作業とは、建設・解体工事のうち、著しい騒音を発生させるものとして政令で指定された作業です。

解体工事で関係しやすい作業は次のとおりです。

主な作業 騒音規制法上の主な条件
さく岩機を使用する作業 作業地点が移動する場合、1日の最大移動距離が50m以下
空気圧縮機を使用する作業 電動機以外を原動機とし、定格出力15kW以上。さく岩機用を除く
バックホウを使用する作業 原則として定格出力80kW以上。一定の低騒音型を除く
トラクターショベルを使用する作業 原則として定格出力70kW以上。一定の低騒音型を除く
ブルドーザーを使用する作業 原則として定格出力40kW以上。一定の低騒音型を除く
くい打機・くい抜機などを使用する作業 機械や工法によって除外条件あり
びょう打機を使用する作業 対象
コンクリートプラントを設ける作業 混練機の混練容量が0.45m³以上。一定のものを除く
アスファルトプラントを設ける作業 混練機の混練重量が200kg以上。一定のものを除く

同じバックホウでも、定格出力や低騒音型への該当状況によって判断が変わります。また、圧砕機などが騒音規制法の対象外でも、自治体条例の指定作業として規制されることがあります。

なお、上の作業でも、作業を開始した日に終わるものは特定建設作業から除かれます(騒音規制法施行令第2条)。1日で終わるかどうかの判断に迷う場合は、施工地の自治体へ確認してください。

実務ポイント1
業者へ重機名だけでなく、型式・定格出力・アタッチメント・低騒音型の該当状況を施工計画書に記載してもらいましょう。

第1号区域と第2号区域の騒音基準と作業可能時間の比較図
国の基準では、騒音基準は共通ですが、作業禁止時間と1日の作業時間が区域で異なります。図の「日曜日」の制限は、法令上は日曜日その他の休日が対象です。

解体工事の騒音基準と作業可能時間

特定建設作業の国の規制基準は、区域区分によって次のように定められています。

項目 第1号区域 第2号区域
敷地境界線における騒音基準 85dBを超えないこと 85dBを超えないこと
作業を行えない時間 午後7時~翌午前7時 午後10時~翌午前6時
1日当たりの作業時間 10時間以内 14時間以内
連続作業日数 6日以内 6日以内
日曜・休日の作業 原則不可 原則不可

第1号区域は、指定地域のうち、良好な住居の環境を保全するため特に静穏の保持を必要とする区域などや、学校、保育所、病院、入院施設のある診療所、図書館、特別養護老人ホーム、幼保連携型認定こども園の敷地の周囲おおむね80mの区域として、都道府県知事(市の区域では市長)が指定した区域です。第2号区域は、指定地域のうち第1号区域以外です。

災害その他の非常事態で緊急に行う必要がある場合や、人の生命・身体に対する危険を防止するため特に必要な場合は、作業時間・1日の作業時間・連続作業日数・休日の基準が適用されません。このほか、鉄道・軌道の正常な運行の確保のため特に必要な場合や、道路占用許可・道路使用許可などに夜間や休日に行う条件が付いた場合なども、夜間・休日の基準の例外とされています(環境省告示)。

これは特定建設作業に対する国の基準です。「解体工事は必ず午後5時まで」「土曜日も全国一律で禁止」という意味ではありません。自治体条例、発注条件、近隣との取り決めも確認が必要です。

自治体条例による追加規制の確認方法

自治体は、騒音規制法より広い範囲の作業を条例で規制している場合があります。法律の対象外でも、条例上の届出や作業時間制限が適用される可能性があります。

施工地の自治体サイトまたは環境課・公害対策課で、次の項目を確認してください。

  1. 工事場所が騒音規制法の指定地域か
  2. 第1号区域・第2号区域のどちらか
  3. 条例上の「指定建設作業」などに該当するか
  4. 届出書の様式、添付書類、提出方法
  5. 作業時間・休日・近隣説明の追加条件
  6. 道路使用・道路占用許可に伴う時間制限

札幌市・北海道で確認すること(国の制度との違い)

次は、国の法令と、北海道・札幌市が公表している案内を分けて整理したものです(いずれも2026年10月4日に各機関のページで確認)。

  • 【国の法令】特定建設作業の種類と機械の条件、敷地境界線で85dB、作業時間・日数・休日の基準と例外、作業開始日の7日前までの市町村長への届出、作業を開始した日に終わる作業の除外は、全国共通です。北海道・札幌市の案内も、この国の基準を前提にしています。
  • 【北海道の案内】第1号区域は、騒音規制法の規制地域のうち第1種・第2種区域の全域と、第3種・第4種区域内の学校・保育所・病院・入院施設のある診療所・図書館・特別養護老人ホーム・幼保連携型認定こども園の敷地の周囲80m以内の区域、第2号区域はそれ以外の規制地域とされています。届出は、工事場所の市町村の環境担当部署へ提出します。
  • 【札幌市の区域指定】市街化調整区域と工業専用地域は指定地域外で、そこで行う作業は届出不要とされています。
  • 【札幌市の案内:使用機械】手持式ブレーカー(電動ピックなど)を用いる作業は騒音規制法、手持式以外のブレーカー(ジャイアントブレーカーなど)を用いる作業は騒音規制法・振動規制法の対象とされ、いずれも作業地点が1日50m以上進む場合を除くとされています。コンクリートカッターやコンクリート破壊機(ニブラ、TSクラッシャーなど)を用いる作業は、この区分に含まれません。バックホウは出力80kW(108ps)以上、トラクターショベルは70kW(94ps)以上、ブルドーザーは40kW(54ps)以上が対象で、低騒音型建設機械として指定されたものを用いる作業は除かれます。なお、2002年10月1日以降、「建設省指定’89」の建設機械は低騒音型建設機械として扱われません。
  • 【札幌市の案内:届出】届出者は元請業者の代表者です。「7日前まで」は届出日と作業開始日を含めずに数え(例:16日に作業を始める場合の提出期限は8日)、期限が休日に当たる場合は翌日が期限です。添付書類は全工程表と、現場周囲200m以内の状況が分かる付近見取図です。
  • 【札幌市の案内:その他】同じ工事の全工程で1日だけ特定建設作業を行う「1日作業」は届出不要とされています。市が独自に求めていた「建設作業実施報告書」は2025年10月21日に廃止されましたが、騒音規制法・振動規制法に基づく特定建設作業実施届出書は引き続き必要です。

北海道内のほかの市町村では、区域の指定や届出方法を、工事場所の市町村の環境担当部署へ確認してください。

実務ポイント2
自治体へ問い合わせる際は、住所に加えて、工程表・重機一覧・型式・出力・作業予定時間を用意すると確認がスムーズです。

特定建設作業実施届出の概要

指定地域内で特定建設作業を行う場合は、原則として届出が必要です。

項目 原則的な扱い
届出義務者 指定地域内で特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者。実務上は契約関係に応じて元請業者などが対応
提出先 施工地の市町村長など
提出期限 特定建設作業の開始日の7日前まで
主な記載事項 工事場所、作業内容、期間、時間、使用機械、騒音防止方法など
緊急工事 非常事態で緊急に行う場合は速やかに届出

自治体によっては、工程表、現場案内図、付近見取図、使用機械の仕様書などを求められます。

「7日前」の数え方や閉庁日の扱いは自治体の案内を確認し、余裕を持って提出してください。

建設リサイクル法の届出とは別制度

騒音規制法の届出と、建設リサイクル法の届出は別の手続きです。

建築物の解体では、解体部分の床面積の合計が80㎡以上で、特定建設資材が使われている対象工事について、原則として発注者または自主施工者が工事着手の7日前までに届け出ます。

制度と廃材処理の流れは、解体工事の廃材処分も併せて確認してください。

石綿の事前調査・結果報告も別に確認する

石綿の事前調査は、規模にかかわらず原則としてすべての建築物等の解体・改修工事で必要です。そのうえで、建築物の解体部分の床面積合計が80㎡以上の場合は、原則として事前調査結果の報告も必要です。

80㎡は「事前調査が必要になる境界」ではなく、結果報告の基準の一つである点に注意してください。

実務ポイント3
「届出は済んでいますか」とだけ聞かず、騒音・振動、建設リサイクル法、石綿関係の各手続きについて、届出者・期限・提出状況を一覧で確認しましょう。

防音パネルや低騒音型重機、圧砕工法などで解体工事の騒音を抑える現場対策
防音養生、低騒音型重機、工法の見直し、落下防止などを組み合わせて騒音を抑えます。

騒音・振動が発生しやすい作業と低減対策

騒音が発生しやすいのは、コンクリートの破砕、基礎撤去、部材の落下、廃材の積込みなどです。代表的な低減策には次のものがあります。

  • 防音シートや防音パネルを設置する
  • 低騒音型建設機械を使用する
  • 打撃による破砕を減らし、圧砕工法を検討する
  • 高所から廃材を落とさない
  • 重機の空ぶかしや不要なアイドリングを避ける
  • 養生設備の隙間や破損を点検する

現場ごとの工法や養生、防振対策は、住宅密集地の解体工事で詳しく解説しています。

騒音規制と振動規制の違い

騒音と振動は別の法律で規制され、対象作業や基準も異なります。

項目 騒音規制法 振動規制法
規制対象 著しい騒音を発生させる特定建設作業 著しい振動を発生させる特定建設作業
敷地境界線における基準 騒音レベル85dB 振動レベル75dB
解体で関係しやすい作業 さく岩機、一定出力以上のバックホウなど 鋼球による破壊、舗装版破砕機、一定のブレーカー作業など
届出期限 原則、開始日の7日前まで 原則、開始日の7日前まで
行政対応 改善勧告・命令など 改善勧告・命令など

騒音規制法の届出だけで、振動規制法の手続きも完了するわけではありません。それぞれの対象作業を確認してください。密集地での振動対策や隣家の現況確認は、住宅密集地の解体工事も参考になります。

工事前の近隣説明と苦情対応

法令上の基準を守っていても、近隣から苦情が出ないとは限りません。着工前には、少なくとも次の内容を説明します。

  • 工事期間と通常の作業時間
  • 騒音・振動が大きくなる作業日
  • 現場責任者と緊急連絡先
  • 主な防音・防振対策

苦情を受けた場合は、発生時刻、作業内容、場所、申出内容を記録し、必要に応じて作業の一時中断や工程変更、養生の補修、測定を検討します。

隣家との距離が近い現場では、着工前の現況写真や養生計画も重要です。詳しくは住宅密集地の解体工事をご覧ください。

基準超過や無届の場合の行政対応

特定建設作業では、敷地境界線において85dBを超えないことが基準です。基準に適合せず、周辺の生活環境が著しく損なわれていると認められる場合、市町村長は騒音防止方法の改善や作業時間の変更を勧告できます。

勧告に従わない場合は、必要な範囲で改善命令の対象になることがあります。また、報告徴収や立入検査、無届などに対する罰則が適用される可能性もあります。騒音規制法では、特定建設作業の届出をしない場合や虚偽の届出をした場合は3万円以下の罰金(第31条)、改善命令に違反した場合は5万円以下の罰金(第30条)と定められています。

ただし、一度85dBを超えただけで直ちに工事停止になるとは限りません。測定条件、作業状況、周辺環境への影響などを踏まえて個別に判断されます。

近隣住民が騒音に困った場合は、次の順で対応するとよいでしょう。

  1. 日時、継続時間、作業内容を記録する
  2. 可能であれば現場責任者へ連絡する
  3. 改善されない場合は自治体の公害相談窓口へ相談する
  4. 建物への損傷が疑われる場合は写真を撮り、専門家へ相談する

スマートフォンの測定アプリは状況記録の参考になりますが、公的な測定値と同等とは限りません。

施主が業者選定時に確認すべきこと

契約前に、次の項目を確認してください。

  • 使用する重機、型式、定格出力
  • 低騒音型建設機械の使用可否
  • 防音シート・仮囲いの仕様と設置範囲
  • 騒音・振動を抑える工法と工程
  • 騒音・振動関係の届出要否、届出者、提出予定日
  • 自治体条例の確認結果
  • 近隣説明の時期と範囲
  • 苦情受付と一次対応の担当者
  • 騒音測定が必要になった場合の対応
  • 解体工事に必要な許可・登録

防音対策は「養生一式」ではなく、材質、高さ、設置範囲、補修方法まで見積書や施工計画書で確認しましょう。

業者の資格については、解体工事の建設業許可と解体工事業登録をご確認ください。

実務ポイント4
契約前に、届出書の控えをいつ確認できるか、防音設備の仕様変更が生じた場合に誰が承認するかまで決めておくと、着工後の認識違いを防ぎやすくなります。

まとめ

解体工事の騒音規制は、工事場所と作業内容によって適用の有無が決まります。

  • 指定地域内の特定建設作業が主な規制対象
  • 敷地境界線では85dBを超えないことが基準
  • 作業時間は第1号・第2号区域で異なる
  • 届出義務者は工事を施工しようとする者で、実務上は契約関係に応じて元請業者などが対応する
  • 自治体条例による追加規制も確認する
  • 騒音、振動、建設リサイクル、石綿、許可・登録は別々に確認する

施主は業者任せにせず、届出の要否、防音設備、使用重機、近隣対応を契約前に書面で確認してください。

参考資料

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