解体前のガス手続きでは、単なる解約・閉栓だけでなく、メーター、配管、引込管、LPガスボンベをどこまで撤去するかの確認が必要です。
まず、次の3点を押さえましょう。
- 最終使用日と解体着工日をガス会社へ伝える
- 「閉栓」と「設備撤去」の作業範囲を分けて確認する
- 作業完了日と残る配管を解体業者へ共有する
ガスが通じている可能性があるメーター・配管・ボンベは、施主や解体業者が自己判断で外したり切断したりせず、ガス会社・LPガス販売店へ事前に連絡・確認しましょう。
ガス停止後に解体業者へ渡す情報
- 都市ガス・LPガスのどちらを利用していたか
- 閉栓日とメーター・ボンベ等の撤去完了予定日
- 敷地内外で残す配管と、切り離し位置
- 作業依頼先のガス会社・LPガス販売店の連絡先
- 不明配管やガス臭を発見した際の緊急連絡手順
「閉栓したから敷地内のガス管を自由に切断できる」という意味ではありません。撤去可否と作業範囲は設備管理者や資格を持つ事業者に確認してください。
目次[閉じる]
都市ガスとLPガスでは連絡先・撤去方法が異なる
| 項目 | 都市ガス | LPガス(プロパンガス) |
|---|---|---|
| 主な連絡先 | 使用中止・料金の精算は契約中のガス小売事業者、ガス管の撤去(地境切断など)やガス漏れは地域の一般ガス導管事業者 | 契約中のLPガス販売店 |
| 主な手続き | 使用停止、メーター・配管・引込管の処理 | 契約解除、ボンベ・供給設備の撤去 |
| 特に確認すること | 敷地境界付近での切断が必要か | ボンベ以外の調整器・供給管も撤去するか |
| 注意点 | メーター撤去後も管内にガスが通じている場合がある | ボンベや供給設備が販売店所有の場合がある |
お客さま番号などは、契約時の書面や検針票、契約先のマイページに記載されている場合があります。契約先が分からない場合の確認方法として、電力・ガス取引監視等委員会は、クレジットカードや銀行の明細を確認する、通信費などとセットで契約していれば契約書などを確認する、といった方法を挙げています(2026年10月11日時点)。
実務ポイント1
「建物の解体」と伝え、更地にするのか建て替えるのかも説明してください。通常の引っ越しに伴う閉栓とは、必要な処置が異なる場合があります。

閉栓・メーター撤去・配管撤去の違い
ガスの「停止済み」が、すべての設備を撤去したという意味とは限りません。
| 作業 | 内容 |
|---|---|
| 閉栓・供給停止 | ガスの使用を止め、契約や料金を精算する |
| メーター撤去 | 建物などに設置されたメーターを取り外す |
| 敷地内配管の撤去 | 解体範囲にあるガス管を撤去・切断する |
| 地境切断 | 都市ガスの引込管を敷地境界付近で切り離す |
| LPガス設備撤去 | ボンベ、調整器、供給管などを回収・撤去する |
2026年10月11日時点の各社の公式ページでは、東京ガスネットワークが、メーターを閉栓してもメーターガス栓まではガスが通じており、建物解体の場合は敷地境界付近でガス管を切り離す地境切断が必要と案内しています。大阪ガスネットワークも、ガスメーターがなくてもガスが通じていると注意喚起しています。
実務ポイント2
見積書に「ガス撤去」としか記載されていない場合は、閉栓、メーター撤去、敷地内配管撤去、地境切断のどこまで含むかを書面で確認しましょう。
ガス会社へ連絡する時期
連絡は、ガスを最後に使う日と解体日程が決まった時点で行います。
東京ガスネットワークは、2026年10月11日時点の公式案内で、解体に伴うガス管撤去工事について、希望工事日の2週間前を目安に申し込むよう案内しています。ただし、必要日数は地域、撤去範囲、道路工事の有無、繁忙状況などで異なります。
日程を決める手順
- 解体業者へ着工日を確認する
- 給湯・調理などでガスを最後に使う日を決める
- ガス会社またはLPガス販売店へ解体予定を伝える
- 閉栓と設備撤去の日程を調整する
- 完了予定日を解体業者へ共有する
停止日は、必ずしも解体着工日と同日ではありません。残置物整理などでガスを使う予定があれば、その終了後に設定します。
実務ポイント3
ガス会社の作業が終わる前に解体へ着手しないよう、工程表に「ガス停止・撤去完了日」を記載してもらいましょう。
申し込み時に用意する情報
一般に、次の情報を求められます。
- 契約者名・お客さま番号
- 解体する建物の住所
- 都市ガスまたはLPガスの別
- 最終使用希望日
- 解体着工日
- 更地化または建て替えの予定
- メーターやボンベの位置
- 撤去を希望する設備
- 当日の連絡先
- 立ち会える人
- 解体業者の会社名・担当者・連絡先
立ち会いの要否は、設備の位置や作業内容によって異なります。建物内へ入る必要がある場合や、撤去範囲の現地確認をする場合は、立ち会いを求められることがあります。
施主・ガス会社・解体業者の役割
施主
- 契約先の小売事業者・LPガス販売店へ使用中止を申し込む
- 撤去工事を誰が申し込むかを解体業者と決める
- 最終使用日と着工日を調整する
- 撤去範囲、費用、立ち会い条件を確認する
- 作業完了を解体業者へ伝える
ガス会社・LPガス販売店
- 閉栓と安全確認
- 必要に応じたメーター、配管、引込管の処理
- LPガスボンベや所有設備の回収
- 作業内容と費用の説明
解体業者
- ガス設備へ自己判断で触れない
- 停止・撤去完了前に設備周辺を解体しない
- 残る配管の位置を把握する
- 不明管やボンベを見つけたら作業を止める
誰が申し込むかは、事業者や手続きによって異なります。例えば東京ガスネットワークの解体に伴うガス管撤去工事の申込みでは、ガス使用者の情報のほか、申込者・工事当日の立会者・工事費用の負担者の情報を入力する形式で、工事当日は立ち会いが必須とされています(2026年10月11日時点)。使用中止(契約の解約)とガス管撤去工事は窓口が分かれる場合があるため、施主と解体業者のどちらが何を申し込むかを事前に決めてください。
メーター・配管・ボンベを勝手に外してはいけない理由
都市ガスの配管は、メーターがなくてもガスが通じている可能性があります。誤って切断すれば、漏えい、火災、爆発などにつながります。
所有の区分は事業者や設備によって異なります。例えば東京ガスネットワークは、ガスメーターは同社の資産、メーターを除く敷地内のガス管はお客さまの資産と案内しています(2026年10月11日時点)。敷地内のガス管が自分の資産であっても、ガスが通じている管は自分で切断・撤去せず、ガス会社に処理を依頼してください。
LPガスのボンベや調整器、供給管も、販売店の所有物である場合があります。無断で移動・切断すると、安全上の問題だけでなく、所有権や撤去費用をめぐるトラブルにもなり得ます。
解体業者から「こちらで外せる」と言われた場合も、事前にガス会社またはLPガス販売店の承諾と作業範囲を確認してください。

LPガスの契約解除と設備撤去
LPガスでは、契約解除と同時に以下を確認します。
- ボンベの回収日
- 調整器や供給管の撤去範囲
- 設備の所有者
- 残ガスの処理
- 撤去費・精算金の有無
液化石油ガス法施行規則(第16条第16号)では、契約解除を申し出た消費者から要求があった場合、LPガス販売事業者は自ら所有する供給設備を遅滞なく撤去することとされています。資源エネルギー庁の運用及び解釈の基準(2024年7月2日改正)は、この「遅滞なく」を原則として1週間以内としています(2026年10月11日時点の条文と同庁の公表資料で確認)。
ただし、撤去が著しく困難な場合その他正当な事由があると認められる場合は例外とされています。また、「1週間以内」は設備撤去に関する運用上の基準であり、解体工事全体の日程を保証するものではありません。
ガス停止・撤去に費用がかかるケース
費用は、地域、事業者、設備の所有関係、撤去範囲、現場条件、契約内容によって異なります。全国共通の固定金額は示せません。
東京ガスネットワークでは、2026年10月11日時点の公式案内で、地境切断(全部撤去)の作業費を無料(例外が発生した場合は別途費用を請求する場合あり)とする一方、一部撤去の工事費は依頼者負担とし、受付から5営業日以内の一部撤去には至急対応費が加算されるとしています。この扱いが他地域にも当てはまるとは限りません。
費用が発生し得る例は次のとおりです。
- 建物側配管の一部だけを撤去する
- メーターや配管を移設する
- 埋設管の位置調査が必要
- 掘削や舗装復旧を伴う
- 通常より短い日程での対応を依頼する
- LPガス設備の契約上の精算がある
見積書では、次の項目を確認しましょう。
- 撤去する設備と数量
- 道路側・敷地側・建物側の施工範囲
- 掘削・埋め戻し・舗装復旧の有無
- 立ち会い費や至急対応費
- ガス会社と解体業者の作業区分
- 追加料金が発生する条件
追加請求を受けた場合は、解体工事の追加費用を確認する方法も参考にしてください。
水道・電気との違い
| ライフライン | 解体前の主な確認事項 |
|---|---|
| ガス | 閉栓、メーター、配管、引込管、ボンベの撤去 |
| 水道 | 工事中の散水利用、止水、メーター・給水管の処理 |
| 電気 | 契約停止、メーター・引込線の撤去 |
| 通信 | 引込線、端末、アンテナなどの撤去 |
水道は粉じん対策の散水で解体中も使うことがあります。一方、ガスは漏えい・引火を防ぐため、原則として必要な安全措置を終えてから解体へ進みます。
水道の時期や撤去範囲は、解体工事前の水道停止・閉栓手続きで確認できます。
ガス臭・残置ボンベ・不明管を見つけた場合
ガス臭い、ボンベが残っている、正体不明の管が見つかった場合は、触らず解体作業を止めます。
ガス臭がするときは、経済産業省と東京ガスネットワークの案内(2026年10月11日時点)に沿って、次のように対応してください。
- ライターやマッチなどの火気を使わない
- 換気扇や照明などの電気のスイッチに触れない(入り切りの際に火花が出るため)
- 屋内では窓や戸を開けて換気する。ガス臭い場所が屋外の場合は、窓や戸を閉めてガスが室内に入らないようにする
- ガス臭い場所へは立ち入らず、すぐに都市ガスのガス漏れ通報窓口(一般ガス導管事業者)またはLPガス販売店へ連絡する
- 必要に応じて近所にも注意を呼びかけ、危険を感じる場合は安全な場所へ避難する
ボンベを移動したり、配管を切断したりしてはいけません。
着工前に解体業者へ共有する項目
- 都市ガス/LPガスの別
- 最終使用日
- 閉栓・撤去の実施日
- メーター撤去の有無
- 都市ガス引込管の処理方法
- LPガスボンベ・調整器・供給管の撤去状況
- 敷地内に残る配管の位置
- ガス会社・販売店の担当窓口
- 完了報告書や作業写真の有無
実務ポイント4
「ガス停止済み」という口頭連絡だけでなく、どの設備を誰がどこまで処理したか、メール・作業票・写真で残してください。
まとめ
解体前のガス対応では、閉栓と設備撤去を分けて確認することが重要です。
都市ガスはメーター撤去後もガスが通じている場合があり、地境切断が必要になることがあります。LPガスはボンベだけでなく、調整器や供給管の所有者と撤去範囲を確認してください。
最終使用日、撤去完了日、解体着工日の順序を調整し、完了内容を解体業者へ書面で共有してから着工しましょう。
参考資料
本記事の制度・手続き・費用の扱いは、2026年10月11日時点で次の公式情報(法令はe-Gov法令検索の現行条文)を確認した内容に基づいています。手続きや費用は変更される場合があるため、申し込み前に契約先のガス会社・LPガス販売店へ確認してください。
- 東京ガスネットワーク|敷地内・建物内で工事をする際のお願い(メーターガス栓まではガスが通じていること、地境切断。2026年10月11日確認)
- 東京ガスネットワーク|敷地内での解体・増改築に伴うガス管撤去工事のお申し込み(希望工事日の2週間前が目安、一部撤去の費用負担・至急対応費。2026年10月11日確認)
- 東京ガスネットワーク|敷地内の古くなったガス管のお取り替え(ガス設備の全体像と所有区分)(ガスメーターは同社の資産、敷地内のガス管はお客さまの資産。2026年10月11日確認)
- 東京ガスネットワーク|ガス臭いときは(火気厳禁、スイッチに触れない、屋外の場合は窓や戸を閉める、近所への注意・避難誘導。使用開始・中止は契約中の小売ガス事業者へ。2026年10月11日確認)
- 大阪ガスネットワーク|敷地内・建物内で工事をする際のお願い(ガスメーターがなくてもガスが通じていること。2026年10月11日確認)
- 電力・ガス取引監視等委員会|消費者向けQ&A(問5-3 契約中のガス会社の確認方法、問4-1 お客様番号等の記載場所。2026年10月11日確認)
- e-Gov法令検索|液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(第16条第16号 供給設備の撤去。2026年10月11日確認)
- 資源エネルギー庁|液化石油ガス法施行規則の運用及び解釈の基準(2024年7月2日改正。「遅滞なく」は原則1週間以内。2026年10月11日確認)
- 経済産業省|ガス臭いと感じた時には(火気・電気のスイッチに触れない、換気、ガス事業者へ連絡。2026年10月11日確認)