解体工事の追加費用が妥当かどうかは、金額だけでは判断できません。まず、次の3点を確認してください。
- 当初の契約範囲に含まれていないか
- 追加工事の前に説明と承認があったか
- 写真・数量・単価・処分量の根拠があるか
地中埋設物が見つかっても、必ず施主が全額負担するとは限りません。アスベスト費用は、発注者に求められる法令上の配慮と、契約上の最終負担を分けて考える必要があります。
請求を放置せず、契約書と証拠を照合してから対応しましょう。
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追加請求を受けてもすぐに支払わない
追加請求書を受け取ったら、次の順序で対応します。
- 契約書・見積書・仕様書を確認する
- 追加工事の明細と証拠を求める
- 納得できない点を書面で照会する
- 合意済みの金額と争いのある金額を分ける
- 減額などの合意内容を書面に残す
工事中であれば、安全確保に必要な作業を除き、争点となる追加工事について「説明と合意が済むまで着手しないでほしい」とメールなどで伝えます。ただし、工事全体を一方的に止めると契約上の問題が生じる可能性があります。停止範囲は業者や専門家と協議してください。

追加費用が発生する主な原因
| 原因 | 確認事項 |
|---|---|
| 地中埋設物 | 種類、位置、数量、撤去の必要性 |
| アスベスト | 調査結果、除去範囲、処分方法 |
| 残置物 | 見積時から増えた量、実際の処理事業者 |
| 基礎・杭 | 深さ・厚さ、図面や見積範囲との差 |
| 付帯物 | 塀、物置、樹木、井戸、浄化槽の契約範囲 |
| 施工条件 | 手壊し、小運搬、養生、交通誘導の必要性 |
地中埋設物
旧基礎、コンクリート塊、杭、井戸、浄化槽などは、建物を撤去してから見つかる場合があります。次の点を確認しましょう。
- 契約書に除外規定があるか
- 既存図面や工事履歴を業者へ渡していたか
- 現地調査で把握できる状態だったか
- 撤去前に写真と追加見積もりが提示されたか
- 数量と処分費を証明できるか
地中から見つかったという理由だけで、当然に施主負担になるわけではありません。
アスベスト
建築物の解体では、原則として規模を問わず工事前のアスベスト事前調査が必要です。80㎡は建築物解体における調査結果の報告基準であり、調査の要否を分ける基準ではありません。
2026年1月1日以降に着工する一定の工作物では、資格要件を満たす者による事前調査が必要です。対象や資格区分は建築物と異なるため、業者や所管行政庁へ確認してください。
追加請求では、次の費用を分けて確認します。
- 事前調査費
- 試料採取・分析費
- 除去費
- 隔離・養生費
- 運搬・処分費
- 届出・記録対応費
石綿含有吹付け材や保温材などを除去する特定粉じん排出等作業では、原則として発注者が作業開始日の14日前までに自治体へ届け出ます。対象作業や自治体独自の手続きも確認してください。
発注者には、必要な調査・除去費を適正に負担し、法令を守れる工期や条件を確保する配慮が求められます。一方、施工者の調査・説明漏れがあった場合の最終的な負担は、契約や過失などにより個別に判断されます。
制度の詳細は、アスベスト含有建物の解体ガイドとアスベスト事前調査の解説で確認できます。
残置物
家庭の家具、家電、生活用品は原則として一般廃棄物です。市町村自身、市町村の一般廃棄物処理業許可を持つ事業者、市町村から委託された事業者など、自治体のルールに従って処理します。
追加請求を受けたら、物量が増えたか、誰が処理を依頼したか、実際の回収事業者と処理方法を確認してください。
付帯工事・想定外の基礎
塀、物置、庭石、樹木、井戸、浄化槽などは、本体解体と別料金になる場合があります。ただし、契約時から見えていた物を後から追加扱いにされた場合は、現地調査時の写真と見積書を照合し、見積もりから漏れた理由を確認しましょう。

追加費用の目安は数量と単価で確認する
解体工事の追加費用に全国一律の相場はありません。地域、搬出条件、廃棄物の種類、処分先、重機の使用可否などで変わります。
例えば、地中コンクリートの撤去費は次のように分解します。
撤去量×単価+重機費+運搬費+処分費
撤去量が8㎥なら、「8㎥×提示単価」に何が含まれるのかを確認します。総額だけでなく、数量・単位・単価・作業範囲を照合してください。
建物本体を含む費用水準は、解体費用の坪単価と総額の計算方法で確認できます。

追加請求の妥当性を判断する3つのポイント
1.当初の契約範囲に含まれていないか
契約書、見積書、仕様書、現地調査時のメールを確認します。特に「一式」「別途」「現況による」「地中障害物を除く」などの表記に注意してください。
「一式」と書かれていても対象範囲が明確とは限りません。業者に、契約範囲外とする根拠を示してもらいましょう。詳しい確認方法は、解体工事の見積もり完全ガイドで解説しています。
2.追加工事前に説明と承認があったか
着手前に、原因、現場写真、作業内容、数量、単価、追加額、工期への影響について説明を受け、書面で承認するのが基本です。
建設業法上、請負契約の内容を変更する場合は、災害時などを除き、原則として追加工事の着手前に変更内容を書面化し、相互に交付する必要があります。
事前承認がなかっただけで、直ちに支払義務がなくなるとは限りません。緊急性、口頭指示、契約条項なども含めて判断されます。
3.数量・単価・処分根拠があるか
「地中物撤去一式50万円」だけでは検証できません。次の資料を求めましょう。
- 発見時から撤去後までの写真
- 寸法・体積・重量の計測記録
- 使用した重機と車両の記録
- 廃棄物の種類と搬出量
- 処分先、計量票、処分伝票
- 契約単価または算定根拠
マニフェストは原則として元請業者が排出事業者として管理します。施主への原本や写しの交付義務が一律にあるわけではありませんが、請求根拠を確認するため、計量票・処分伝票・マニフェスト情報などの提示を依頼できます。
正当性を確認しやすい請求と注意したい請求
根拠を確認しやすい請求
- 契約上の除外項目に該当する
- 工事前には確認困難だった事情がある
- 発見時の写真が保存されている
- 着手前に明細が提示されている
- 施主が書面で承認している
- 数量、単価、処分量を検証できる
注意したい請求
- 完了後に初めて追加額を知らされた
- 「一式」のみで内訳がない
- 写真や計測記録がない
- 承認前に撤去・処分されている
- 当初から見えていた物を追加扱いにしている
- 契約範囲内の工事を二重請求している
- 即日・現金での支払いを強く迫る
相場より高いという理由だけでは、不当請求と断定できません。契約内容と客観的資料を基に判断します。

追加請求を受けたときの対処手順
STEP1.契約書類と証拠を保存する
契約書、約款、見積書、追加請求書、写真、メール、メッセージ、打ち合わせメモ、計量票などを保存します。
STEP2.書面で明細を求める
追加請求を確認するため、追加工事の原因、契約範囲外とする根拠、発見時の写真、施工数量、単価、処分先および処分量が分かる資料をご提示ください。確認が完了するまで、当該追加額の承認・支払いを保留します。
STEP3.契約内容と照合する
請求項目ごとに、契約書の記載、業者の説明、写真、数量、承認の有無を整理します。
STEP4.争点を絞って交渉する
- 契約範囲内の項目は削除を求める
- 数量記録がない項目は再計算を求める
- 二重計上された費目を指摘する
- 処分量と請求数量の不一致を確認する
- 事前承認なく施工した経緯を尋ねる
STEP5.合意内容を書面に残す
減額や分割払いで合意した場合は、対象金額、支払期限、合意後に追加請求しない範囲を文書化します。
契約前に追加費用を防ぐ方法
- 本体、基礎、外構、残置物を分けて見積もる
- 撤去する物と残す物を写真で共有する
- 杭、井戸、浄化槽、増築履歴を伝える
- 「一式」「別途」の範囲を具体化する
- 追加費用の単価または計算方法を決める
- 写真と追加見積もりの提示方法を決める
- 書面承認後に追加工事へ着手すると定める
- 着工前の現況を写真や動画で保存する
見積書の各項目は、解体工事の見積書の見方も参考にしてください。
建設リサイクル法の届出も確認する
特定建設資材を用いた建築物で、解体部分の床面積が80㎡以上などの要件を満たす工事は、建設リサイクル法の対象です。発注者は原則として着工7日前までに都道府県知事などへ届け出ます。
これはアスベスト事前調査や調査結果報告とは別の制度です。対象資材、工事規模、自治体条例、提出先を着工前に確認してください。
解決しない場合の相談窓口
- 消費生活センター:消費者ホットライン「188」から最寄りの窓口へ相談できます。
- 建設工事紛争審査会:建設工事の請負契約に関するあっせん・調停・仲裁を扱います。
- 住まいるダイヤル:住宅の契約や技術上の問題を相談できます。利用条件は事前に確認してください。
- 弁護士・法テラス:高額請求、損害賠償、工事停止などが争点となる場合に検討します。
まとめ
解体工事の追加請求を受けたら、契約範囲、事前説明・承認、写真・数量・単価・処分根拠の順に確認します。
地中埋設物の発見だけで施主負担が決まるわけではありません。アスベストについては法令上必要な対応を優先しつつ、契約上の負担を別に検討します。
資料を保存し、明細を書面で求め、争点を整理して交渉しましょう。判断が難しい場合は、支払い前に公的窓口や専門家へ相談してください。