解体工事前の水道は、すぐに止めるのではなく、散水や清掃で使い終える日に合わせて停止します。
まず確認すべきポイントは次の3つです。
- 「水道の使用中止」と「メーター・給水管の撤去」は別
- 停止日は解体業者と決めてから水道事業者へ申し込む
- 撤去工事の範囲・費用・申請者を書面で確認する
手続きや料金計算は水道事業者によって異なります。所在地を管轄する水道局・自治体の上下水道部門へ確認してください。
この記事の手続き・料金計算の説明は、2026年10月8日時点で各水道事業者などの公式ページ(末尾の参考資料)を確認した内容に基づいています。
目次[閉じる]
水道停止と給水管・メーター撤去の違い
| 対応 | 内容 | 主な窓口 |
|---|---|---|
| 使用中止・閉栓 | 水道の契約と料金請求を止める | 水道局・お客さまセンター |
| メーター撤去 | 水道メーターを取り外す | 管轄の水道事業者に確認(指定工事店が行う場合あり) |
| 給水管撤去・キャップ止め | 給水管を切断・撤去し、端部を止水する | 指定給水装置工事事業者など |
使用中止を申し込んでも、給水管まで自動的に撤去されるとは限りません。一方で、使用廃止後の撤去について規定を設けている地域もあります(後述の大阪市の例)。
東京都水道局は、中止届を出さなければ、水道を使っていなくても基本料金がかかると案内しています。ただし、同様の扱いになるかは管轄事業者に確認が必要です。
実務ポイント1
見積書に「水道停止」とあっても、契約手続きだけなのか、メーター・給水管の工事まで含むのかを確認しましょう。
水道を止める適切な時期
停止日は、建物の解体開始日ではなく、現場で水を使い終える日を基準に決めます。
解体中は、現場によって、粉じん対策の散水や道路・車両の清掃に水を使うことがあります。着工前に止めると、仮設給水や給水車などの追加手配が必要になる可能性があります。
停止日を決める手順
- 解体業者へ水を使う作業と期間を確認する
- 既存水道・仮設給水・タンクのどれを使うか決める
- 最終使用日を決める
- 水道事業者へ使用中止を申し込む
- 必要に応じて給水管やメーターを撤去する
東京都水道局は、使用中止を3~4日前までに申し込むよう案内しています。これは東京都の例であり、期限は地域や申込方法によって異なります。
実務ポイント2
水道局へ申し込む前に、解体業者へ「いつまで、誰が、何のために水を使うか」を確認してください。
水道局への使用中止・閉栓の申し込み方法
主な連絡先は次のとおりです。
- 自治体の水道局・上下水道部門
- 水道お客さまセンター
- 地域の水道事業者
電話、Web、アプリ、窓口など、利用できる方法は事業者ごとに異なります。
申し込み時に用意する情報
- 使用場所の住所
- 契約者名
- お客さま番号・水栓番号
- 使用中止希望日
- 連絡先
- 転居先または最終請求書の送付先
- 最終料金の支払方法
お客さま番号は、検針票や請求書などで確認できます。
立会いは不要な地域もありますが、メーターを確認できない場合や現場精算を希望する場合などは、立会いを求められることがあります。
最終料金は必ず日割りになるとは限らない
水道料金や下水道使用料の精算方法は、事業者によって異なります。
例えば、東京都水道局は使用開始・中止に応じた水道料金の日割り計算を案内しています。一方、名古屋市上下水道局は、短期使用時の料金を0.5か月単位で計算し、日割りしないと案内しています。
申し込み時には次を確認してください。
- 最終検針日と精算方法
- 水道料金の日割りの有無
- 下水道使用料の計算方法
- 閉栓・中止手数料の有無
- 口座振替や未払い料金の扱い
「必ず日割りになる」「閉栓は必ず無料」とは一律にいえません。
解体業者と施主の役割分担
一般的な分担の目安は次のとおりですが、最終的には契約内容によります。
| 項目 | 主な担当の目安 |
|---|---|
| 水道使用中止の申し込み | 施主 |
| 最終料金の支払い | 施主 |
| 散水・清掃用水の計画 | 施主と解体業者 |
| 給水管工事の手配 | 解体業者または施主 |
| 撤去工事・申請 | 指定給水装置工事事業者など |
| 工事費の負担 | 見積書・契約書による |
解体業者が代行する場合も、次の点を書面で確認します。
- 申込者と名義人
- 撤去する設備と残す設備
- 道路側・敷地側それぞれの施工範囲
- 水道局への申請者
- 費用負担と追加費用の条件
実務ポイント3
「水道工事一式」だけで契約せず、閉栓、メーター撤去、給水管切断、道路復旧、申請費を分けて確認しましょう。
見積書全体の確認方法は、解体工事の見積もりで確認すべきポイントも参考にしてください。

工事中に散水・清掃用の水が必要な場合
主な対応方法は3つあります。
既存水道を工事終盤まで残す
利用できる既存配管や散水栓を残し、不要になってから使用を中止します。解体作業で配管を破損しないよう、残す位置を現場で共有する必要があります。
仮設給水を設ける
既存設備を早期に撤去する建て替え工事などで検討します。設置・撤去費や申請の要否を事前に確認します。
タンクや給水車を利用する
既存水道を使えない現場で選択肢になります。必要水量、搬入経路、補給方法によって費用や手間が変わります。
解体工事の全体的な段取りは、解体工事の流れで確認できます。

給水管を撤去・キャップ止めするケース
例えば次のようなケースでは、使用中止とは別に給水管工事を検討することがあります。管轄の水道事業者や指定給水装置工事事業者に相談してください。
- 更地のまま長期間使用しない
- 漏水や無断使用を防ぎたい
- 売却に向けて設備を整理する
- 新築計画上、既存管を利用できない
- 水道事業者から撤去を求められた
- 解体範囲と給水管が干渉する
一方、建て替えで既存の引込管を再利用できるなら、撤去しないほうが合理的な場合もあります。口径、材質、老朽化、位置が新築計画に適合するかを、水道事業者・建築会社・指定工事店に確認してください。
横浜市では、給水装置の撤去などについて、原則として指定給水装置工事事業者による申請・施工を案内しています。大阪市にも、使用廃止後の撤去やキャップ止めなどに関する規定があります。具体的な扱いは地域によって異なります。
水道撤去・キャップ止めの費用
給水管工事には、公的な全国一律の価格はありません。今回確認した一次情報にも、全国共通の金額目安はありませんでした。
費用は主に次の条件で変わります。
- 撤去・切断する範囲
- 道路掘削の有無
- 給水管の口径・材質・深さ
- メーターや止水栓の位置
- 重機や作業車が入れるか
- 道路復旧の仕様
- 水道局への申請や道路関係手続き
- 解体契約に含むか、別発注するか
見積もりでは、次の内訳を確認します。
- 調査費
- 申請費
- 配管切断・撤去費
- キャップ止め・分岐止め費
- メーター関連費
- 掘削・埋め戻し費
- 舗装復旧費
- 交通誘導費
- 廃材処分費
追加請求を受けたときは、契約範囲、事前説明と承認、数量・単価の根拠を確認してください。詳しくは解体工事の追加費用はなぜ発生する?で解説しています。
水道停止後の漏水・無断使用を防ぐ注意点
使用中止後も、敷地内に配管や散水栓が残ることがあります。工事完了時に次を確認してください。
- 実際に止水されているか
- メーターと止水栓が残っているか
- 給水管の端部が適切に処理されているか
- 屋外水栓や露出管が残っていないか
- 解体時に配管を破損していないか
- 完了写真や工事報告書があるか
水道局のバルブやメーターを施主が自分で操作・撤去する前に、必ず管轄の水道事業者へ確認しましょう。
実務ポイント4
完了確認では、更地の全景だけでなく、止水箇所・メーター周辺・配管端部の写真も受け取ってください。
自治体・水道事業者によって手続きが異なる
地域差が生じやすいのは次の項目です。
- 使用中止の申込期限
- 電話・Webなどの申込方法
- 立会いの要否
- 最終料金の計算方法
- 手数料の有無
- メーターの所有・撤去方法
- 給水管撤去の申請者
- 指定工事店の利用条件
- 道路内配管の処理方法
自治体名と「水道 使用中止」「給水装置 撤去」「指定給水装置工事事業者」で公式情報を確認すると窓口を探しやすくなります。
電気・ガス・電話との違い
| 設備 | 解体前の主な確認事項 |
|---|---|
| 水道 | 散水・清掃で最後まで使うか |
| 電気 | 仮設電源や照明が必要か |
| ガス | 閉栓、メーター・引込管の処理 |
| 電話・インターネット | 引込線・機器の撤去、移転手続き |
水道は工事中に使う可能性が高いため、ほかのライフラインと同じ日に一括停止しないことがポイントです。ガスは安全に関わるため、ガス会社と解体業者の指示に沿って早めに調整してください。
解体前の水道対応チェックリスト
- [ ] 散水・清掃で水を使う期間を確認した
- [ ] 既存水道と仮設給水のどちらを使うか決めた
- [ ] 使用中止日と申込期限を確認した
- [ ] お客さま番号と最終請求先を用意した
- [ ] 水道・下水道料金の精算方法を確認した
- [ ] メーター・給水管を残すか決めた
- [ ] 指定給水装置工事事業者の関与を確認した
- [ ] 申請費・道路復旧費を含む見積もりを確認した
- [ ] 工事後の止水状態を写真で確認した
まとめ
解体前の水道は、次の順序で対応します。
- 解体業者へ散水用水の使用期間を確認する
- 使用中止日を決めて水道事業者へ申し込む
- 給水管・メーターを残すか撤去するか決める
- 指定工事店、申請者、施工範囲、費用を確認する
- 工事後に止水状態と残置設備を確認する
使用中止と給水管撤去は別です。早く止めすぎると工事用水の追加手配が必要になり、撤去範囲が曖昧だと追加費用につながります。水道事業者と解体業者の双方へ確認し、役割分担を書面に残しましょう。
参考資料
- 東京都水道局|手続きに際して(中止届がない場合の基本料金。2026年10月8日確認)
- 東京都水道局|ご使用上の主な定め(使用中止の連絡は3~4日前まで、水道料金の日割計算。2026年10月8日確認)
- 国土交通省|建設工事公衆災害防止対策要綱(解体時の粉じん飛散防止のための散水等。2026年10月8日確認)
- 横浜市水道局|指定給水装置工事事業者リスト(給水装置の撤去等の申請・施工。2026年10月8日確認)
- 大阪市水道局|大阪市水道事業給水条例(第39条 給水装置の撤去等。2026年10月8日確認)
- 名古屋市上下水道局|ご使用期間が2か月以内の上下水道料金(0.5か月単位の料金表、日割算定方式ではない旨。2026年10月8日確認)