北海道でも冬に解体工事はできます。ただし、積雪や路面凍結、吹雪、低温によって、除雪・廃材搬出・散水・安全管理の負担が増えることがあります。
判断のポイントは、次の3つです。
- 重機とダンプが安全に出入りできるか
- 除雪した雪の置き場・搬出先を確保できるか
- 大雪による休工や追加費用の条件が契約書に明記されるか
危険な空き家は早期解体を検討する一方、急ぐ事情がなければ、春まで待つ選択肢も含めて比較しましょう。
冬季解体の見積もりで分けて確認する項目
- 除雪・排雪の担当と、雪の仮置き場所・搬出先
- 屋根雪・落雪・凍結に対する安全対策と作業中止基準
- 大雪・吹雪による休工時の工期延長と費用負担
- 散水用の水の確保、配管や仮設設備の凍結対策
- 車両の出入り・近隣道路の除雪・路面保護
冬季の追加費用を一律の割合で見積もるのではなく、上記の作業が見積書に含まれるかを確認してください。解体時の水道利用は水道停止の手続きも参考になります。
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北海道の冬でも解体しやすいケース・難しいケース
冬でも進めやすいケース
次の条件がそろう現場は、冬でも工事を計画しやすいと考えられます。
- 前面道路と敷地を除雪できる
- 重機やダンプの進入路、旋回場所を確保できる
- 雪を敷地内に寄せるか、場外へ排雪できる
- 屋根雪や氷柱を安全に処理できる
- 廃材処理施設までの運搬ルートを確保できる
- 天候不良による工程変更を許容できる
中断・延期を検討したいケース
以下の現場では、冬季施工の可否を慎重に判断します。
- 狭い私道や坂道が凍結しやすい
- 雪山によって道路幅が狭くなっている
- 敷地や基礎、外構が雪に埋まり、調査できない
- 屋根雪や落雪による危険が大きい
- 豪雪や吹雪、通行止めが発生しやすい
- 売却や建替えなど、次工程の期限が厳しい
実務ポイント1: 積雪前の写真や図面があれば、基礎、物置、塀、樹木、灯油タンクなどの位置を業者へ渡しましょう。雪に隠れた撤去対象の見落としを減らせます。

積雪・凍結・低温が工事に与える影響
除雪・排雪が必要になる
重機の作業場所だけでなく、次の範囲にも除雪が必要です。
- ダンプの荷積み場所
- 作業員の通路
- 仮囲い・養生周辺
- 近隣の歩行者通路
- 緊急時の避難経路
雪を敷地内に置けなければ、積み込み、運搬、排雪先の確保が必要になり、費用と工期に影響します。
重機やダンプが滑りやすくなる
凍結路面では、重機の滑走、ダンプのスリップ、作業員や通行人の転倒リスクが高まります。現場条件に応じて、防滑材、敷鉄板、仮設通路、誘導員などを検討します。
北海道開発局も、道路の凍結対策として、気温や路面状況に応じた凍結防止剤・すべり止め材の使用を案内しています。
廃材搬出が遅れることがある
大雪や通行規制、除雪の遅れによって、ダンプが現場へ入れない場合があります。生活道路や狭い道路では、道路脇の雪山によって車両の離合が難しくなることもあります。
解体作業が進んでも廃材を搬出できなければ、敷地内の保管場所が不足し、作業を中断する可能性があります。
屋根雪・落雪への対策が必要になる
空き家では、屋根雪や氷柱の落下、積雪による建物の損傷に注意が必要です。着工前に、軒先、隣地境界、玄関、作業員の通路を確認します。
建物がすでに傾いている場合などは、安易に雪下ろしをせず、解体業者や建築の専門家へ相談してください。
冬季の追加費用はいくらかかる?
冬季追加費用に、北海道全域で共通する金額の目安はありません。積雪量、除雪範囲、排雪方法、工事期間、道路状況などで変わるためです。
見積書では、次の項目を確認してください。
- 着工前の除雪・排雪
- 工事中に再度積もった場合の追加除雪
- 雪の積み込み・運搬・排雪先
- 防滑材、敷鉄板、仮設通路
- 交通誘導員
- 屋根雪・氷柱の処理
- 仮設給水と配管の凍結対策
- 工期延長時の仮囲い、重機回送、人員費
- 大雪や通行止めによる休工日の扱い
解体本体費も、構造や規模だけでなく、立地、重機進入、残置物、基礎、外構、アスベストの有無などで変動します。
実務ポイント2: 「冬季対応一式」ではなく、除雪範囲、予定回数、雪の処理方法、追加請求の条件を項目ごとに書面化してもらいましょう。
追加費用全般の確認方法は、解体工事の追加費用はなぜ発生する?も参考にしてください。
冬季施工で工期は延びる?
冬だから必ず一定の日数が延びるとは限りません。一方で、次の事情により休工や工程変更が起こる可能性があります。
- 大雪や暴風雪
- 視界不良
- 路面凍結
- 道路の通行止め
- 除雪・排雪待ち
- 廃材運搬車両や処分施設の稼働状況
- 散水設備や給水管の凍結
北海道建設部の公共工事に関する工期設定資料でも、冬期の除雪や低温による作業効率低下を考慮する考え方が示されています。これは民間解体の工期を直接定めるものではありませんが、冬季工程を考える際の参考になります。
契約前に、以下を確認しましょう。
- 工期が暦日か実働日数か
- どの天候・道路状況で中断するか
- 休工日も費用が発生するか
- 延長時の追加費用を誰が負担するか
- 完了・引渡しの基準は何か
- 近隣への予定変更を誰が連絡するか
実務ポイント3: 売却日や建替え着工日が決まっている場合は、完成予定日だけでなく、天候不良を見込んだ予備日も工程表に入れてもらいましょう。

散水・粉じん対策と水道管の凍結
解体工事では、粉じんの飛散を抑えるために散水が必要になる場面があります。しかし冬は、散水した水が凍結し、作業員や通行人、車両の事故につながるおそれがあります。
業者と確認したい項目は次のとおりです。
- 既存水道をいつまで使用するか
- 散水ホースや給水管をどう凍結から守るか
- 仮設給水やタンクが必要か
- 散水後の排水・凍結箇所をどう管理するか
- 水を使いにくい低温時に行う粉じん対策
- 水道メーターや給水管を撤去する時期
水道の使用中止と給水管・メーターの撤去は別の手続きです。詳しくは解体工事前の水道停止・閉栓手続きをご覧ください。
アスベストがある場合
建築物の解体では、規模にかかわらず原則として工事前にアスベストの事前調査が必要です。床面積80㎡は、調査自体の要否ではなく、解体工事における調査結果の報告基準です。
建築物については、2023年10月1日以降に着工する工事から、原則として所定の資格者による調査が必要です。アスベストが確認された場合は、建材の種類に応じた湿潤化、隔離、飛散防止措置などを行います。
吹付け石綿や石綿含有の断熱材・保温材・耐火被覆材の除去など、届出対象となる作業は、発注者または自主施工者が原則として作業開始の14日前までに届け出ます。
冬季であっても、凍結を理由に必要な飛散防止措置を省略できるわけではありません。冬の施工方法を事前調査結果に基づいて計画しているか確認しましょう。
重機・作業員・近隣への安全対策
冬季解体では、建物周囲だけでなく、前面道路まで含めた安全計画が重要です。
- 重機・ダンプの進入路を除雪する
- 凍結箇所へ防滑材を散布する
- 歩行者用通路を確保する
- 雪山で見通しが悪い場所に誘導員を配置する
- 屋根雪・氷柱・落雪範囲へ立入禁止措置を取る
- 養生シートに積もった雪や破損を点検する
- 吹雪や視界不良時の中止基準を設ける
- 近隣へ作業時間や搬出日の変更を知らせる
養生の種類や見積もりの確認方法は、解体工事の養生費用で解説しています。
騒音・振動については、工事場所、使用する機械、作業内容、自治体条例によって届出や作業条件が異なります。解体工事の騒音規制も併せて確認してください。
冬に着工するメリット・デメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 危険な空き家を早く撤去できる可能性がある |
| 春の売却・建替えに向けて早めに進められる | |
| 春の工事集中前に業者の日程を確保できる場合がある | |
| デメリット | 除雪・排雪・凍結対策が必要になりやすい |
| 天候や道路状況によって工程が変動しやすい | |
| 雪で基礎・外構・埋設物を確認しにくい | |
| 散水と凍結防止を両立する必要がある |
業者の空き状況や費用が冬に必ず有利になるとは限りません。現地条件をそろえたうえで、複数社の見積もりを比較してください。
冬に実施するか、春まで延期するか
| 比較項目 | 冬に実施 | 春まで延期 |
|---|---|---|
| 着工 | 早く進められる可能性 | 雪解けを待つ |
| 現地調査 | 雪で基礎・外構が見えにくい場合がある | 敷地全体を確認しやすい |
| 追加作業 | 除雪・排雪・防滑対策が生じ得る | 冬季対策は通常減りやすい |
| 工期 | 天候・道路の影響を受けやすい | 比較的計画を立てやすい |
| 空き家管理 | 落雪・倒壊リスクを早く解消できる可能性 | 春まで管理と安全対策が必要 |
危険性が低く、売却や建替えを急がないなら、雪解け後に再調査する方法があります。一方、倒壊や落雪のおそれがある場合は、延期中の安全対策も必要です。
実務ポイント4: 冬案と春案の2通りで、工事費だけでなく、空き家管理費、除雪費、次工程への影響まで含めた見積もり・工程表を依頼すると比較しやすくなります。
見積もり・契約で確認すべき項目
見積書には、少なくとも以下を明記してもらいましょう。
- 除雪範囲と回数
- 雪を敷地内に置くか搬出するか
- 排雪の運搬費・処理費
- 屋根雪と氷柱の処理
- 防滑材、敷鉄板、仮設通路
- 散水設備と凍結対策
- 交通誘導員の人数と日数
- 大雪・吹雪・通行止め時の中断基準
- 休工・工期延長時の費用
- 雪解け後に判明した基礎・外構等の扱い
- 追加工事の事前承認方法
追加工事は、理由、範囲、数量、金額、工期への影響を提示してもらい、施主が書面やメールで承認してから着手する条件にします。
見積書全体の確認は、解体工事の見積もりで確認すべきポイントをご覧ください。
冬季解体に対応する業者の選び方
現地調査では、次の質問をしてください。
- 北海道での冬季解体実績はあるか
- 除雪を誰がどこまで担当するか
- 雪の置き場・排雪先は確保できるか
- 重機とダンプの冬季搬入計画はあるか
- 廃材処理施設までの運搬ルートはどうするか
- 吹雪・通行止め時の中断基準はあるか
- 散水用水と凍結対策をどう両立するか
- 追加除雪と工期延長の費用条件は何か
- 近隣対応と交通誘導を誰が担当するか
- 必要な調査・届出を誰が行うか
口頭回答だけで判断せず、施工計画書、見積書、契約書へ反映されているか確認しましょう。
解体工事に関係する届出
建設リサイクル法
2026年10月13日時点の北海道公式案内および現行制度では、特定建設資材を用いた建築物で、解体部分の床面積合計が80㎡以上の場合は届出対象です。
原則として、発注者または自主施工者が工事着手の7日前までに届け出ます。受付窓口は施工地によって異なるため、市町村または北海道の案内で確認してください。
騒音・振動
指定地域内で対象となる特定建設作業を行う場合、施工者は原則として作業開始日の7日前までに市町村長へ届け出ます。災害などの非常事態で緊急に行う場合は例外があります。
すべての解体工事が一律に対象となるわけではありません。指定地域、重機・工法、自治体条例を施工地の窓口で確認してください。
北海道の解体補助金・空き家対策制度
空き家解体の補助制度は、北海道全域で共通ではありません。市町村や年度によって、次の条件が異なります。
- 対象となる空き家
- 危険度の判定
- 所有者・相続人の要件
- 税の滞納に関する条件
- 補助対象経費
- 募集期間と予算
- 契約・着工前申請の要否
2026年10月13日時点の札幌市公式案内では、令和8年度の危険空家等除却補助制度が案内され、申請前に危険空家等へ該当するか事前確認が必要とされています。
補助を検討する場合は、交付決定前に契約・着工すると対象外になる可能性があるため、先に自治体へ確認してください。探し方や申請時の注意点は、空き家解体の補助金で解説しています。
まとめ
北海道でも冬季の解体工事は可能です。ただし、建物を壊せるかだけでなく、重機の安全な稼働、散水と凍結対策、廃材搬出まで実行できるかを確認する必要があります。
特に重要なのは次の3点です。
- 除雪・排雪・搬出経路を現地調査で確認する
- 冬季追加費用と休工条件を書面化する
- 冬に急ぐ理由と、春まで管理するリスクを比較する
危険な空き家や期限のある工事は冬季施工を検討し、急がない場合は雪解け後の再調査も含めて判断しましょう。
参考資料
本記事の制度・手続きに関する記載は、2026年10月13日時点で以下の一次資料を確認した内容に基づいています。
- 北海道「建設リサイクル法」
- 北海道建設部「工期設定要領改定概要」
- 北海道「北海道の道路除雪事業」
- 北海道「積雪による建築物の倒壊の防止等について」
- 北海道開発局 札幌開発建設部「凍結路面対策」
- 北海道「特定建設作業」
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「解体業者」
- 環境省「大気環境中へのアスベスト飛散防止対策について」
- 札幌市「令和8年度札幌市危険空家等除却補助制度のご案内」